研究概要 |
2型糖尿病では、膵α細胞におけるグルカゴン分泌抑制の障害が認められる。通常、食後にグルカゴン分泌が低下するが、2型糖尿病では、この低下反応が障害されている。しかしながら、そのメカニズムについては不明である。本研究課題においては、グルカゴン遺伝子の転写を調節する可能性がある2つの転写因子、ATF3とFoxO1に着目して研究を行った。まず、αTC細胞を種々のグルコース濃度(0, 1, 5, 25mM)で培養後、グルカゴンのmRNAレベルとグルカゴンプロモーター活性を定量RT-PCR法とルシフェラーゼアッセイを用いて解析した所、低グルコース濃度によってグルカゴンのmRNAレベルとグルカゴンプロモーター活性が上昇することが明らかとなった。また、ATF3の発現量依存性にグルカゴンプロモーター活性は上昇した。一方、高脂肪食飼育マウスとdb/dbマウスのラ氏島細胞におけるATF3とFoxO1の発現レベルを、組織免疫染色を用いて検討したが、コントロールマウスと比べて有意な差は認められなかった。また、これらのマウスからラ氏島を単離し、定量RT-PCRを用いてATF3とFoxO1のmRNA量を解析したが、やはり有意な差は認められなかった。さらに、Glucagon-CreマウスとATF3 floxマウス、あるいはFoxO1 floxマウスを交配し、α細胞特異的ATF3ノックアウトマウスとα細胞特異的FoxO1ノックアウトマウスを作製したが、現在の所、これらのマウスの血糖値、及び糖負荷試験での耐糖能に変化は認められていない。
|