研究課題/領域番号 |
25293214
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浦野 友彦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20334386)
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研究分担者 |
井上 聡 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (40251251)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 / ロコモーティブ症候群 / メタボリック症候群 / 性ホルモン / Wntシグナル |
研究概要 |
研究代表者らはロコモーティブ症候群とメタボリック症候群の原因となる各種細胞における機能異常を解明するため、性ホルモンと他の内分泌系との相互作用を明らかにすることを本研究の目的とし研究を開始した。 平成25年度においてはロコモーティブ症候群における脆弱性骨折と関連する液性因子、ならびに遺伝子の探索を行った。その結果、血清葉酸値が低値であると、骨量に依存せずに骨折を発症しやすいことを見いだした。さらに葉酸トランスポーター遺伝子であるSLC25A32遺伝子の3’非翻訳領域に存在する遺伝子多型も骨折と関連することを見いだし、葉酸代謝経路と脆弱性骨折が密接に関連することを明らかにした(Urano et al. Geriatr. Gerontol. Int., In Press)。 さらに研究代表者らはγグルタミルカルボキシラーゼ(Ggcx)遺伝子の臓器特異的ノックアウトマウスの作成に成功した。Ggcxは酵素として機能するが、その際ビタミンKがその作用を助ける役割を有して、タンパク質の修飾にかかわるメカニズムが示されている。ビタミンKが様々な疾患に対する役割を解明する上でGgcxノックアウトマウスは重要なモデル動物である。しかしながら全身でのGgcxノックアウトマウスは出血傾向を有し生存できないため、臓器特異的なGgcxノックアウトマウスが望まれていた。平成25年度は肝臓特異的なGgcxノックアウトマウスの表現系を解析した(Azuma, Urano et al. Plos One, 9: e88643, 2014)。今後は骨芽細胞特異的Ggcxノックアウトマウスなどのモデル動物により、ロコモーティブ症候群によるビタミンKの作用機序の詳細が明らかとなることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者らはロコモーティブ症候群の中で脆弱性骨折と関連する液性因子、ならびに遺伝子として葉酸ならびに葉酸トランスポーター遺伝子であるSLC25A32遺伝子を見いだし、ロコモーティブ症候群における重要性を明らかにした。さらにロコモーティブ症候群を予防する上で重要となるビタミンK作用において中心的な役割をはたす酵素であるGgcxに注目し、臓器特異的なGgcxノックアウトマウスの作成に成功した。以上より、平成25年度においてはロコモーティブ症候群を中心に、その鍵となる因子を見いだしており研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後とも、ロコモーティブ症候群とメタボリック症候群の原因となる因子を老年医学、ゲノム医学、分子細胞生物学、内分泌学、生化学の手法を活用して多面的な観点から研究を進めていく。特に研究代表者らが昨年度までに同定した鍵因子と性ホルモンならびに内分泌因子との関連を明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究開始当初に予定していた以上に、26年度に分子細胞生物学実験、遺伝学実験による解析を行う研究員に関する人件費が必要となったため、繰り越した。 分子細胞生物学実験、遺伝学実験による解析を行う研究員に関する人件費として約300万円使用する予定である。
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