研究課題
申請者らは、二つの新規生理活性ペプチドを同定している。ペプチドAは、膵臓β細胞内でインスリンと同じ分泌顆粒に局在していた。このペプチドAは、単離膵島やマウス由来β細胞株MIN6の高グルコースによるインスリン分泌を増強した。この時、細胞内カルシウム濃度が上昇しており、インスリン分泌増加の機序と考えられた。ペプチドAをsiRNAでノックダウンしたMIN6はインスリン分泌が抑制された。さらに、ペプチドAノックダウンMIN6では、アポトーシスが誘導されて細胞数やサイズが小さくなることから、ペプチドAは、膵β細胞の生存、増殖にも重要と考えられる。ペプチドAをマウスに腹腔内投与するとインスリン分泌が増えて耐糖能が改善し、ペプチドAは、糖尿病治療薬のターゲットになる可能性が考えられた。ペプチドAのRIAによる血中濃度の測定系を確立しており、正常人における生理的な変動や、糖尿病や内分泌疾患など疾患による変化を測定中である。さらに、ヒトの正常人と糖尿病患者の膵臓病理切片で免疫染色による解析に着手している。もう一つのペプチドBは、グラニン関連タンパクのin silico解析によって新たに同定した。ペプチドBは20アミノ酸からなり、脳室内に投与すると、濃度依存的に摂食量を抑制した。運動量は低下させるが、酸素消費量は増加していた。血中のカテコラミン濃度と褐色脂肪組織におけるカテコラミンターンオーバーは変化を認めないことから、副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌に与える経時的な影響を解析中である。Phox2B-CreマウスとGhsr-stopノックインマウスを掛け合わせることで、迷走神経特異的Ghsr発現マウスを作製中である。GLP-1とグレリンが迷走神経節で相互に影響を与えることを確認しており、今後、このマウスを用いてGLP-1とグレリンが、迷走神経を介する摂食行動に与える作用を詳細に検討する。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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