同種造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(GVHD)の新たな制御法の開発のため、標的臓器ダメージのメカニズムを研究し、正常組織のホメオスタシスの維持を司る組織幹細胞とそのニッチがアロ応答性T細胞の標的であり、腸内細菌叢を制御する内因性抗菌ペプチド産生機構もダメージを受け、生体のホメオスタシス、エコロジーの破綻がGVHDの病態形成に深く関与している可能性が示唆された。腸幹細胞増殖因子R-Spondin1は腸幹細胞・ニッチシステムの増殖因子で、レシピエントに短期投与することで腸幹細胞・ニッチシステムを保護し、GVHDを抑制し、二次的な感染症を抑制し、移植成績を向上させる新規薬剤治療として期待できる。
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