研究課題/領域番号 |
25293223
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松本 満 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (60221595)
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研究分担者 |
西嶋 仁 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教 (60425410)
毛利 安宏 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教 (80464353)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自己免疫疾患 / 胸腺 |
研究実績の概要 |
本研究では、その機能障害がヒトに遺伝性の自己免疫疾患をもたらす転写因子AIREを研究対象に選び、遺伝子改変マウスを駆使して自己免疫疾患の原因究明に取り組んでいる。それによって、自己免疫疾患の原因究明を基盤として、本症に対する根本的治療法の確立を目指している。前年度の研究に引き続いて、新規遺伝子改変マウスを樹立し、AIREの真の役割、およびAIRE欠損に伴う自己免疫病態のメカニズム解明を図った。 1)AIRE/DTRノックインマウス:AIRE+ mTECがジフテリアトキシン受容体(DTR)を発現するを樹立した(西川・松本が担当)。本ノックインマウスでは、ジフテリアトキシン(DT)を投与することによって、DTRを発現するAIRE+ mTECのみを選択的に胸腺から除去することが出来る(正常マウス細胞はDTRをもたないため、DTに非感受性)。すなわち、AIRE+ mTECを生後どの時期に除去することが自己免疫疾患の発症をもたらすかを検討出来る。本年度はAIRE+ mTEC特異的にDTRが発現されていることを確認したので、引き続き、AIRE+ mTECを生後どの時期に除去することが自己免疫疾患の発症をもたらすかを検討するための条件検討を行う。 2)AIRE/GFPノックインマウス:AIRE+ mTECがGFPを発現するマウスを本遺伝子改変マウスを用いて、AIRE欠損マウスmTECにおける自己抗原遺伝子の発現異常はAIRE欠損に伴うmTECの分化障害が本質的原因であるとするモデルを検証した(西嶋・毛利・松本が担当)。すなわち、、AIRE(+/GFP)ノックインマウスおよびAIRE(GFP/GFP)ノックインマウス(後者ではAIRE発現lineageの細胞は存在するが、その細胞ではAIRE蛋白を欠如する)のGFP発現mTECと非発現mTECとをそれぞれsortingし、microRNAを標的とするarray解析を行った。現在、得られたデータについてinformaticsを導入した解析に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では様々なAIRE遺伝子改変マウスを用いて、AIREの分子遺伝学的解析を進めるが、新規遺伝子改変マウスの樹立も達成しており、実際のデータの取得にも着手出来ている。AIREトランスジェニックマウスについて、エピジェネティックな観点から自己免疫病態の解析を行う研究についても、早急に着手する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に得られた結果を基にして、引き続き、AIRE欠損に伴う自己免疫病態のメカニズム解明を図る。また、AIREの機能にはエピジェネティックな遺伝子発現制御機構が関与していると考えられるため、やはりエピジェネティックな手法を駆使した研究に着手する必要がある(主に西嶋・松本が担当)。さらに、樹立に成功したAIRE/DTRノックインマウスについては、AIRE欠損とAIRE+ mTEC欠損との相違点を明確にして、AIRE+ mTEC の自己寛容成立機構における役割を明確にする必要がある(主に毛利・松本が担当)。いずれの実験も条件検討等については既に着手しており、当初の予定通り、実験を行って行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表の機会が次年度当初にあることが判明したため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年4月7日から、平成26年度の成果発表の為の学会参加を行う。
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