研究課題
Aireは胸腺髄質上皮細胞(mTEC)の中の30~40%の細胞で発現し、Aire陽性mTECが組織特異的自己抗原発現に特化した特殊なサブセットであると考えられてきた。しかしながら、一部のmTECで発現するAireの欠損によって、mTEC全体からの組織特異的自己抗原発現が低下するのは不思議な現象であった。この問題を解決する目的で、ヒトAIRE遺伝子とGFP遺伝子との融合遺伝子をAire遺伝子座に挿入した新たなAireレポーターマウス(Aire/huAIRE-GFPノックインマウス)を樹立した。この場合、Aireはnuclear dot蛋白として局在するが、そこには同時にGFP蛋白が存在し、その一致率は100%となる。Aire/huAIRE-GFPノックインマウス由来のmTECを従来通り抗Aireモノクローナル抗体を用いてAire発現細胞を解析すると、やはりmTECの中の30~40%の細胞がAire陽性mTECと判定されたが、これをGFP蛍光を指標としてAire陽性mTECを測定すると、約65%の細胞がAire陽性mTECであることが判明した。この結果を成熟mTECに限って見てみると、ほぼ80%の細胞がAireを発現していることになる。さらに、このレポーターアレルをホモで保有する個体の解析では約80%の細胞がAire陽性mTECであり、成熟mTECに限ると、ほぼ95%の細胞がAireを発現しており、Aire陽性mTECが組織特異的自己抗原発現のための特殊なlineageである可能性を否定する結果であった。すなわち、ほぼ全ての成熟mTECは発現レベルに違いはあってもAireを発現しており、個々のmTECが死ぬまでの過程を考慮すると、全てのmTECが一度はAireを発現すると考えられた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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