本研究は、関節リウマチ関連遺伝子におけるrare variantの包括的解析を目的とするが、初年度に関節リウマチのゲノムワイド関連解析によって同定されたNFKBIEおよびRTKN2およびNF-κBシグナル伝達経路における主要16遺伝子 についてrare variantsの同定を行った。 NF-κB関連16遺伝子のうち、11遺伝子において遺伝子機能に影響を与えると予測されるrare variantsが同定された。関連解析の統計学的手法の比較においてはOptimal Sequence Kernel Association Tests (SKAT-O)が最も検出感度が高く、2遺伝子(RELA、 RELB)において関連を認めた(P<0.05)。これらのrare variantが、遺伝子機能に与える機能を評価するため、特にRELA遺伝子に注目して、発現ベクターにクローニングを行った。NF-κBリポーターアッセイによってこれらのrare variantを評価したところ、患者群で特異的に同定されたもの多くはNF-κB活性を上昇させるものであった。また,関節リウマチ患者69人対対照群813人で行ったエクソーム解析のうち,rare variantが集積していた上位103遺伝子について,関節リウマチ患者576人対対照群576人で追認解析を行ったところ,8遺伝子で有意な関連を認めた(P<0.05)。これらの結果は、関節リウマチの病態に少なからずrare variantが寄与している可能性を示唆するものであった。さらに,最終年度においては,NFKBIE遺伝子のプロモーター領域のrare variant解析を行ったところ,関節リウマチにおいてrare variantの集積を認め,さらに一部のrare variantは転写活性を低下させることがCRISPR/CAS9を用いた解析によって明らかになった.
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