研究課題/領域番号 |
25293228
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
堀川 幸男 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (10323370)
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研究分担者 |
武田 純 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40270855)
飯塚 勝美 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (40431712)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | MODY / インスリン分泌 / エクソーム / コピー数変異 / 2型糖尿病 |
研究概要 |
アレイCGHはAgilentSurePrint G3 Human CGH Microarray 2×400Kを用いた。その結果、Gain領域は、1人平均で36領域51.9遺伝子、平均長は202.8kb/人(106-274kb)であった。Loss領域では、1人平均で21領域51.5遺伝子、平均長は405.7kb/人(293-579kb)であった。今年度はLoss領域に注目し、ヒトゲノム構造変異データベースであるDGV、DECIPHERにて、その領域内のハプロ不全型遺伝子5個をMODY候補遺伝子として抽出した。そのうち、先ず常染色体劣性遺伝疾患のBloom症候群の原因遺伝子であるBLM遺伝子を検討した。Bloom症候群は小柄な体型、日光過敏性紅斑、免疫不全のほかに、若年での癌腫の合併が特徴であるが、高率に糖尿病を合併することも報告されている。MODY1~6遺伝子に異常を認めないMODY-X患者111人で解析したが、タックマンコピーナンバーアッセイでは、BLM遺伝子エクソン1のCNVは検出されなかった。同時に、Bloom症候群では高頻度な姉妹染色分体交換(sister chromatoid exchange; SCE)について、発端者と家族について解析したが、BLMエクソン1欠損と糖尿病発症およびSCE頻度の間の関連性は否定的と考えられた。 次に、本年度全エクソンシークエンスで同定された68個の候補遺伝子変異と7000個の膵島発現遺伝子群のin-situ検討から獲得している13個の膵島高発現遺伝子、13個の既知MODY遺伝子をネットワーク解析に供して7個の有望なMODY候補遺伝子変異を獲得した。現在欧米人など他の人種含め、候補変異の大規模スクリーニング中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多くのMODY候補遺伝子変異のなかから、候補変異の数を絞るステップにおいて、我々が過去に獲得していた膵島高発現遺伝子が、インスリン分泌不全を規定する可能性のある遺伝子群を抽出するのに役立ったと考える。 エクソーム解析の方法論の成熟とコスト軽減により迅速にシークエンスデータが得られるようになったため、比較的順調に進捗していると考えられる。またCNVに関しても、最近可能になったread depthに基づくCNV検出で対応できることが時間的にもコスト的にも大きな助けとなっている。ただ標的CNVを大規模サンプルで検証する際に、個別にタックマンアッセイなど施行するが、未知CNVの場合その条件設定とデータ解析にやや時間とコストがかかることには改善の余地がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に比較的家系メンバー数の多い家系が獲得できたため、約40人のMODY患者のエクソーム解析を追加し現在データ解析中である。現時点でほとんどの家系は家系独特の遺伝子変異を持つことが予想されるが、獲得した候補遺伝子変異に関しては、民族を超えて大規模サンプルで検証する。選別されたものについては、細胞、個体レベルでの機能解析を迅速に進める。 研究遂行にあたって直面する可能性がある課題と対策としては、疾患発症と関連しない多くの遺伝子変異も同時に検出されると予想される。引き続き小家系でも新規MODY家系を集積することで、非特異的変異を除去し、真のMODY遺伝子変異を効率的に選別する。一方、連鎖解析による同定を念頭に引き続きMODY大家系の獲得も続ける。 またCNVに関しては日本人正常耐糖能者のデータ蓄積が乏しいため、国立遺伝研が所有する他疾患サンプルのデータを対照とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の消耗品購入予想額を下回ったため、次年度繰越額が発生した。 次年度の患者サンプルの遺伝子解析に供する。
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