研究課題
高IgE症候群におけるアトピー性疾患の発症メカニズムを検討するために、STAT3のドミナントネガティブ変異体を発現するコンディショナルノックインマウスを作成した。このStat3-DNfloxマウスと卵細胞特異的にCreを発現するマウス(ZP3-Creマウス)の雌と交配し、全身にStat3-DNを発現するマウスを作製した。この実験の結果、Stat3-DNを発現するマウスでは、野生型同腹のマウスと比較して、血清IgEレベルが100倍以上に上昇し、IL-17の産生も低下することが明らかになった。以上の実験の結果より、マウスにおいてもヒトと同様にSTAT3のドミナントネガティブ変異体の全身での発現は、高IgE症候群と同様の症状を引き起こすことが明らかになった。高IgE症候群における高IgE血症の原因を検索する目的で、まずその原因細胞の検索を行った。このモデルマウスは、Stat3-DNのコンディショナルノックインマウスであるので、このマウスを各種の細胞特異的Cre recombinase発現マウスと交配することで、各種の細胞特異的Stat3-DN発現マウスを作製し、高IgE血症の原因細胞を同定した。高IgE症候群のアトピー性皮膚炎の病態形成機構の解明を目的として、まずStat3-DNマウスにおけるアトピー性皮膚炎モデルを確立した。Stat3-DNを全身に発現するマウスはSPF環境下では皮膚炎を発症しなかった。そこでハプテン反復投与モデルの検討を行った具体的には、感作6日後より、ハプテンの耳への塗布を隔日で続けると、最初はStat3-DNマウスで皮膚の肥厚の軽減が見られたが、day 14より、Stat3-DNマウスにおいて掻破回数の増加、皮膚組織の肥厚の増強、CD4陽性T細胞と好酸球の皮膚炎局所への浸潤、ハプテン特異的血清IgEの上昇、Th2サイトカインの皮膚炎局所での上昇、表皮のバリアー機能の低下、Th2ケモカインの上昇が認められた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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