研究課題
前年度までの研究にて我々は非ウイルス性ベクターであるpiggyBack トランスポゾンベクターを用いて血友病Aマウスモデルに第FVIII因子遺伝子を導入し300日にわたって第VIII因子を発現することに成功した(Matsui H, et.al. PLos One 9(8) e104597, 2014)。しかしながら、ヒトへの臨床応用を考える場合、さらに、大きな動物での検討が必須であった。平成27年度では、ハイドロダイナミック法(hydrodynamic:gene delivery:HGD)を用いて奈良医大で所有する血友病Aイヌモデルに遺伝子を導入する実験を行った。10-12kgの血友病イヌビーグル犬に全身麻酔下に大伏在静脈に18Gの末梢カテーテルを挿入し、ガイドワイアーを用いて注入用のバルーンカテーテルを挿入した。IVR技術によりバルーンカテーテルは肝静脈分岐下に設置した。肝標的HGDはpiggyBack トランスポゾンベクターを用いて右側、右中葉、左中葉左側の、4つの肝葉で実施した。組織損傷の評価のために血液サンプルを採取した。GFP発現の評価のためにベクター投与5および120日目にエコーガイド下に肝生検を実施した。ASTおよびALTの一過性の上昇がみられたが、循環、呼吸、心機能に影響は見られなかった。組織学的検査により、全4肝葉の70-80%の肝細胞でGFPが投与5および120日とも陽性であった。HGDおよびIVRを併用することにより大動物モデルにおいても低侵襲的に安全かつ有効に遺伝子を導入することが確認された。次に、血友病Aイヌモデルを用いて第VIII因子遺伝子をHGD法およびIVR法にて導入を試みる。さらに本年度は第VIII因子インヒビターが発生した軽症血友病A患者の抗原構造を明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Thrombosis Haemostasis
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