研究課題
昨年度の結果より、West症候群の中枢症状に対して、低分子量GTP結合タンパク質Rhebを薬理学的に抑える方が、光遺伝学的手法よりも有効であると考えられた。そこで、期間を延長し、Rheb阻害薬の他の行動異常に対する効果や作用機序を検討した。(1)West症候群モデルの記憶障害や社会性異常に対するRheb阻害薬の効果:West症候群では、てんかん発作だけでなく、知的障害も大きな問題である。そこで、Tsc2+/-マウスが記憶の異常を示すかどうかを調べたところ、海馬依存的な文脈記憶が障害されていることがわかった。そこで、Tsc2+/-マウスにRheb阻害薬を投与し、記憶を想起させたところ、文脈記憶が回復することがわかった。次に、モデルマウスが社会性の異常を示すかどうかを調べた。アストロサイト特異的にTsc1遺伝子をノックアウトしたGFAP-Cre;Tsc1-/-マウスは3チャンバー試験において社会記憶の異常を示した。そこで、これらのマウスにRheb阻害薬を長期投与したところ、社会記憶も回復した。(2)Rheb阻害薬の薬理作用:Rheb阻害薬が効果を発揮するメカニズムを解析し、活性化のための修飾を抑制することを明らかにした。また、回路レベルでの有効性を検証するため、記憶想起に伴って海馬歯状回で活性化されるニューロンをArc抗体で標識した。野生型では、記憶想起によってArc陽性ニューロンが増加したが、Tsc2+/-マウスでは有意な増加は見られなかった。しかし、Rheb阻害薬をTsc2+/-マウスに投与し、記憶を想起させたところ、野生型と同程度まで、Arc陽性ニューロンが増加した。以上の結果から、Rheb阻害薬は、モデルマウスのRheb機能を抑えることにより、回路を正常化し、記憶を回復させると考えられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Visualized Experiments
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Mek3
10.1007/978-3-319-67199-4
Front Behav Neurosci.
巻: 11 ページ: 202
10.3389/fnbeh.2017.00202
http://www.igakuken.or.jp/plasticity/