研究課題/領域番号 |
25293240
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
伊東 恭子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80243301)
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研究分担者 |
藤森 亮 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, 放射線防護研究センター・リスク低減化研究プログラム・感受性モデル動物研究チーム, チームリーダー (50314183)
伏木 信次 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (80150572)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 先天異常学 / 細胞周期 / 小頭症 / ASPM |
研究実績の概要 |
1. 中枢神経特異的Aspm欠損マウス(NesCre- Aspmflox)の脳形成の解析:胎生期に、EdU投与+48時間後にBrdU投与 (胎齢12.5日/胎齢14.5日、胎齢14.5日/胎齢16.5日)することで、胎齢の異なった時期に S期の細胞をラベル後、胎仔脳を解析した。Aspm欠損マウスでは、細胞周期の遅延、対称性・非対称性分裂の異常により、胎齢の時期に応じて、細胞増殖・分化、細胞遊走に変動が生じることが明らかになってきた(データ集積中)。 2. 条件的Aspm欠損マウス(Fucci-NesCreERT2- Aspmflox)の新規作製と脳形成解析:新規のFucciマウス(R26Fucci2aR: G1期をmVenus、S/G2/M期をmCherryでラベル)と条件的Aspm欠損マウス(NesCreERT2- Aspmflox)の交配により、ライヴ蛍光を改善した遺伝子改変マウスの作製に至った。今後、解析を進める予定である。 3. 生後の脳発達過程におけるAspmの機能解析 MRIを用いた脳のin vivo 時空間的変化:全身型Aspm欠損、Aspm野生型、雌雄の4群で、生後3週、10週において、MRI (T2強調画像: T2W、拡散テンソル画像: DTI) を施行した。Aspm欠損では、Aspm野生型に比して、雌雄ともに、生後3週、10週において、脳容積が有意に小さく、脳室容量は有意に大きかった。FA値は、生後3週、10週において、Aspm欠損では、大脳白質、外包、内包、海馬采で、有意な低下をみた。 DTIで得られたFA値の有意差を組織学的に検証するために、Bodian染色、髄鞘染色による組織計測学的解析を施行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
条件的Aspm欠損マウス(Fucci-Nes-CreERT2- Aspmflox)の脳形成の解析では、タモキシフェン投与条件の設定に難渋し、良好なAspm発現抑制が誘導できなかった。そのため、平成27年度上半期から、中枢神経特異的Aspm欠損マウス(NesCre- Aspmflox)の脳形成解析に研究計画を変更した。また、条件的Aspm欠損マウスでは、継代とともに、Fucciのライヴ蛍光が低下しており、新規のFucciマウス(R26Fucci2aR: G1期をmVenus、S/G2/M期をmCherryでラベル)との交配を開始し、年度終盤になって新規マウスの作製に至った。一方で、全身型Aspm欠損マウスを用いた画像解析は順調に進んだ。 以上の問題が発生したため、研究の遂行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 条件的Aspm欠損マウス(Fucci-NesCreERT2- Aspmflox)を用いて、胎仔終脳壁の組織培養・タイムラプスを駆使し、一細胞レベルにおける細胞周期、対称性、非対称性分裂の動態に関して解析する。 2. Aspm欠損マウスにおいて、MRI解析で得られたFA値の変動を組織学的に検証し、Aspmの機能が脳の発生・発達段階を追ってどのように変化するか、その成熟脳での帰結を明らかにする。 3. 成マウスを対象とした学習・行動解析:Aspm欠損成マウスを用いて、自動制御・24時間モニタリングとRFタグでの個体認識により、集団生活環境下での社会行動・空間認知機能解析を可能にするIntelliCageを用いた行動実験を行う。この一連の解析によって、完成した脳機能に及ぼすAspm欠損の影響を明らかにする。
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