研究課題
平成26年度までの研究で、我々は生体壊死組織から放出されるHMGB1が骨髄内血小板増殖因子受容体(platelet-derived growth factor receptor alpha:PDGFRα)陽性間葉系幹細胞(PDGFRα+MSC)の血中動員を誘導すると同時に、PDGFRα+MSCの細胞表面にケモカインCXCL12の受容体CXCR4の発現を誘導し、壊死組織周囲の血管内皮細胞が発現するCXCL12とCXCR4の相互作用によるPDGFRα+MSCの壊死組織特異的集積を促進することにより、組織再生誘導作用を発揮することを明らかにした。平成27年度は、HMGB1の骨髄間葉系幹細胞動員活性を利用した皮膚疾患治療効果の検証を進めた。具体的には、C57BL6マウスへの4週間連日ブレオマイシン皮下投与により皮膚線維化モデル(強皮症モデル)を作成し、同時に週2回4週間(計8回)HMGB1またはPBSを静脈内投与して、ブレオマイシン誘導性皮膚線維化に与える骨髄間葉系幹細胞集積効果を検討した。その結果、HMGB1静脈内投与群ではコントロール群(生理食塩水投与群)に比較して、ブレオマイシン誘導性皮膚線維化形成領域にPDGFRα+MSCが有意に多く集積していること、皮膚線維性瘢痕形成が有意に抑制されることが明らかとなった。次に、HMGB1投与によるブレオマイシン誘導性皮膚線維性瘢痕治療効果を検証した。具体的には、4週間連日ブレオマイシン皮下投与により皮膚線維化を誘導した後、HMGB1を静脈内に投与し、その皮膚線維化治療効果を検討した。その結果、HMGB1投与により皮膚線維性瘢痕の軽減効果が得られることが明らかとなった。即ち、HMGB1投与による骨髄由来PDGFRα+MSC動員は強皮症の皮膚硬化に対して予防効果および治療効果を発揮し得る可能性が初めて示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS One
巻: Apr 13;10(4) ページ: e0123712
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Sci Rep
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巻: Dec 11;10(12) ページ: e0144166
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