本研究では、生体組織、特に生体皮膚の恒常性維持メカニズムにおけるHMGB1の役割と皮膚難病治療への応用について検討した。その結果、1)壊死組織から放出されたHMGB1は細胞膜上のプロテオグリカンであるシンディカンに結合してプールされ、組織障害に伴うプロテオグリカンの分解時に放出されること、2)放出されたHMGB1は骨髄内間葉系幹細胞表面に発現する受容体に結合して血中に動員すること、3)血中動員された間葉系幹細胞はSDF-1/CXCR4メカニズムで壊死組織周囲に集積すること、4)壊死組織周囲に集積した間葉系幹細胞は強い抗炎症効果、瘢痕抑制効果、組織再生誘導効果を発揮することが明らかとなった。
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