研究課題/領域番号 |
25293248
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
棟居 俊夫 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (50293353)
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研究分担者 |
横山 茂 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (00210633)
齋藤 大輔 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命准教授 (30390701)
三浦 優生 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (40612320)
守田 知代 大阪大学, 工学研究科, 特任講師 (60543402)
小坂 浩隆 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命教授 (70401966)
米田 英嗣 京都大学, 白眉センター, 特任准教授 (50711595)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 児童青年精神医学 |
研究実績の概要 |
①15人の自閉症スペクトラム障害者(ASD)および15人の定型発達者(TD)を対象に、ASD的主人公の物語(ASD物語)とTD主人公の物語(TD物語)を読んでいる間のfMRIを撮像した、またASD傾向の把握のためにAutism-spectrum Quotient(AQ)を求めた。その結果、ASDではASD物語を、TDではTD物語を読んでいる時に腹側内側前頭前野(ventromedial prefrontasl cortes, vmPFC)の活性が有意に増大した。また、この時、TDではvmPFCと上側頭回との間のfunctional connectivities(FCs)が関与していたが、ASDでは別の部位が関与していた。このことはASD傾向の強い人はASDに亜型の共感を抱くことを示唆している。②19名のASD、21人のTDを対象に安静時のfMRIを撮像し、default mode network(DMN)内の各部位のresting-state FCs(rs-FCs)を解析した。その結果、DMN内のrs-FCsの強さはASD、TDともにASD傾向と有意に逆の相関を示した。このことはrs-FCsが自閉症傾向を把握するbiomarkerとなりうることを示唆している。③一方で、併行して行ったオキシトシンによるASDを対象とした臨床試験の経験から、日常生活における種々のエピソードが、オキシトシンによる対人的なコミュニケーションの障害や社会性の障害の変化をとらえる評価法になりうる感触を得ていた。 そこでASD本人および家族による日記の中に含まれる、自らを振り返る、あるいは他者に配慮を示す言動の解析を行い、DMN内のrs-FCsの程度との関連を検討することが今後の課題となると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自閉症スペクトラム障害を対象に共感や自己に関するfMRIを撮像し、2本の論文を公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
日常生活にみられる種々のエピソードには、自らを振り返る、あるいは他者に配慮を示す言動が含まれている。自閉症スペクトラム障害ではこのような言動が少ないと考えられ、またこれらは自己と関連する言動である。このような言動を採取するために、日記を用いる。その結果と、default mode network内のresting-state functional connectivitiesとの関連を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文化に必要な英文校正が不要になったことのため、次年度に対象者に支払う謝金が必要なことが判明したため、当該の次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
論文作成時の出版費および対象者への謝金に使用する予定である。
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