研究課題/領域番号 |
25293249
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
岩田 泰秀 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (10285025)
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研究分担者 |
森 則夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00174376)
植木 孝俊 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (60317328)
和久田 智靖 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80444355)
横倉 正倫 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00529399)
高橋 太郎 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (30402358)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 予防法 / 神経炎症 / ミクログリア |
研究概要 |
1. ミクログリア活性化の仕組みに関する研究 研究代表者らは、統合失調症患者脳にて発症初期からミクログリアが病的に活性化していることを、これまでにPETで観察しており、病態脳におけるミクログリア活性化の仕組みの解明が、統合失調症の病態生理の理解に不可欠であると考えている。そこで、25年度では、統合失調症と同様にミクログリアの活性化が病態生理に密接に関与することの確認されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態モデルマウス(SOD1G93Aマウス)にて、ミクログリアの病的な活性化を惹起する分子異常の探索を、初めにミクログリア細胞膜上の受容体分子発現を網羅的に解析することで行った。即ち、SOD1G93Aマウス脊髄前角のミクログリアをレーザーマイクロダイセクションで分離した後、そのmRNA発現をDNAマイクロアレイにより解析した。その結果、ミクログリアのIGF1等の神経保護因子の産生を誘導するCX3CR1等のmRNA発現量が、病態脳脊髄にて著明に変化していることが明らかとなり、それらミクログリア受容体の分子異常が、統合失調症、ALS等の種々の精神神経疾患の発症機序に働くと考えられた。 2. ミクログリアを治療標的とする統合失調症予防薬に関する研究 DNAマイクロアレイによるmRNA発現量変化解析の結果、病態脳脊髄においてもミクログリアで発現が保持されていたCD200Rを治療標的とする創薬研究に取り掛かった。25年度では、CD200Rに結合するCD200とFcのキメラタンパク質を調製し、その神経保護活性及び抗炎症作用をSOD1G93Aの初代培養ミクログリアにて定量PCRを用い解析した。そして、CD200/Fcキメラタンパク質のALS病態モデルマウス脳室内投与が、病態脳脊髄におけるミクログリアでのTNFalpha等の炎症性サイトカイン産生を伴う神経炎症反応を抑制する他、BDNF、IGF1等の神経保護因子の産生がミクログリアで誘導されることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミクログリアの病的な活性化を惹起する分子異常のひとつとして、IGF1等の神経保護因子の産生を誘導するCX3CR1等のmRNA発現量が、病態脳脊髄にて著明に変化していることを明らかにできた。また、予防薬については、CD200/Fcキメラタンパク質が病態脳脊髄におけるミクログリアでのTNFalpha等の炎症性サイトカイン産生を伴う神経炎症反応を抑制する他、BDNF、IGF1等の神経保護因子の産生がミクログリアで誘導されることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
活性化機序の解明についてはレーザーマイクロ第セクション法を用いた現在の計画をさらに継続し、他の関連のリガンド分子を同定する。また、予防薬研究については、キメラ蛋白について、統合失調症モデルとなるpoly I:Cモデルラットを用いた効果判定を行う。さらにコモンマーモセットでのpolyI:Cモデルの検証、及びこれらに対して予防薬の効果判定を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
ミクログリア活性化の仕組みの探究に次年度に繰り越されたものがあるため。 H26年度計画に並行して、H25年度の遅れている部分について継続して行う。
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