研究課題/領域番号 |
25293255
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
三島 和夫 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神生理研究部, 部長 (40239223)
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研究分担者 |
北村 真吾 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神生理研究部, 室長 (80570291)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 概日リズム / 生物時計 / 概日リズム睡眠障害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、難治性で慢性経過を辿りやすい概日リズム睡眠障害の高精度診断と治総最適化のため睡眠リズム調整の二大因子である生物時計の「リズム周期」と「リズム位相」の迅速診断法を確立し、患者固有のリズム障害特性に基づいたテーラーメイド時間療法プログラムを作成することにある。 本年度は、昨年度作成した時計遺伝子周期のin vitroモニタリングシステムの精度検証に取り組んだ。International Classification of Sleep Disorders (ICSD) 2nd editionに準じた概日リズム睡眠障害患者60名(睡眠相後退型35名、フリーラン型25名)及び対照健常者47名から樹立した皮膚由来初代線維芽培養細胞に概日リポーター遺伝子Bmal1-luc(時計遺伝子Bmal1プロモーター+ルシフェラーゼ遺伝子)を導入し、その発光リズム(末梢時計リズム)を測定した。その結果、フリーラン型患者は健常者に比べて有意に長い末梢時計リズム周期を示すことが確認された。このことから、被験者の生体試料を活用したin vitro評価系は長周期を病因とする症例のスクリーニングに有効である可能性が示された。また、一日2回逆位相点で得られた血液から血漿成分を分画し、液体クロマトグラフィー・質量分析計(LC/MS)を用いたメタボローム解析により約24時間周期に量が変化する代謝産物(振動物質)を同定して分子時刻表を作成することが可能である。この分子時刻表に個々人から得た2時点の血漿振動物質情報を照らし合わせて生物時計位相を推定するメタボローム解析系を標準化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生物時計の「リズム周期」と「リズム位相」の迅速診断法が予定通り稼働し、精度検証も順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
患者固有のリズム障害特性に基づいたテーラーメイド時間時間療法プログラムの有効性を評価する臨床試験を進捗させる。時計遺伝子周期のin vitroモニタリングシステムおよび生物時計位相を推定するメタボローム解析システムの精度向上に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画にある基盤研究(測定システムの開発)を優先してすすめることとし、臨床研究を一時的に凍結した。その結果、物品費の支出が当初予定より減り、次年度に繰り越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には、末梢時計システムで症状評価を行った睡眠障害患者を対象とした臨床試験を推進する。繰り越し分の物品費を充てる予定である。
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