研究課題/領域番号 |
25293256
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
柏倉 幾郎 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (00177370)
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研究分担者 |
伊藤 巧一 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (90398579)
門前 暁 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (20514136)
吉野 浩教 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (10583734)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射線防護剤 / TPO受容体作動薬 / 造血幹細胞 / 急性放射線症候群 |
研究概要 |
平成25年度の研究実績の概要は下記の通りである。 1. 放射線照射マウスは約10%が27日間生存後,30日目には全て死亡した.c-Mpl作動薬であるロミプロスチムを単回投与(50 μg/Kg)した場合30日目で87.5%のマウスが生存し,3日間あるいは5日間投与すると全マウスの生存が観察された.この時,生存個体間の骨髄細胞数及び前駆細胞数には有意な差は認められなかったが,強い骨髄抑制は回復していなかった.本研究より,高線量放射線ばく露個体に対するc-Mpl作動薬適用の可能性が期待される.これらの成果の一部は、日本放射線影響学会第56回大会(2013年10月,青森市)で発表すると共に,Radiation Emergency Medicineに投稿・掲載された. 2. 平成25年度の検討課題である「放射線曝露個体に対する作動薬の最適な投与方法の確立」について、照射線量と投与量それぞれについて検討を行い、放射線線量と至適投与量について検討した結果、7 Gy照射個体では50μg/Kgを3日間投与する事で100%の30日生存率をもたらしたが、8 Gy以上ではRP単独50μg/Kgでは完全に致死を回避出来ない事を見出した。現在、より高い濃度での検討を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度の検討課題は「放射線曝露個体に対する作動薬の最適な投与方法の確立」であるが、次年度以降の課題である「作用機序解明」の一部についても大きな成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に確立された投与プロトコールをもとに,「放射線曝露個体における作動薬の致死回避の作用機序解明」及び「作動薬で救命した個体の長期観察による有害事象発生の検証」について研究を開始する.平成26年度は,作動薬の作用機序を組織・細胞レベルで評価解析する事を目的とし,具体的に下記の点について検討する. ①骨髄細胞中の多能性造血幹細胞や間葉系幹細胞への作用,②腸管粘膜の治癒再生過程の経時的な観察,③腸管障害の修復機構(血小板活性化,肥満細胞の障害修復への関与),④病理組織学的解析:組織切片による組織,形態観察,免疫染色,⑤TPO 受容体作動薬投与に伴う各種サイトカイン産生:血中サイトカインレベルの解析,⑥白血病を中心とした長期生存個体における発がん等有害事象発生の有無の検証
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度使用額で本年度の目標成果が得られたから. 次年度は、照射実験に用いるマウスの数をさらに増やすため、その購入に充当する.
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