研究課題/領域番号 |
25293257
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩田 錬 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (60143038)
|
研究分担者 |
古本 祥三 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (00375198)
高橋 和弘 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 上級研究員 (20370257)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 分子イメージング / マイクロリアクター / PET / 標識合成 / 様式プローブ / 自動合成 |
研究実績の概要 |
2年度目の本年度では、中間濃縮用の蒸発チップの評価、最終生成物の固相抽出精製を一層容易にするためにオンチップ18F-標識反応および新規PETプローブの導入に取り組んだ。 ①昨年度試作した蒸発チップは耐圧性に問題があり、今年度耐圧性を増したチップを新たに試作し、CH2Br2と[18F]CH2BrFの気液分離を検討した。その結果、Heの流速とチップ加熱温度を最適化して、効率よく気相中に[18F]CH2Brを取り出すことができたが、CH2Br2を完全に分離することができず、更なる検討が必要である。 ②マイクロリアクター反応で得られる反応容積をできるだけ小さくする新しい試みとしてオンチップ標識を行った。電気化学的濃縮チップ電極に捕捉した[18F]フッ素イオンを脱離させ、その場で置換反応を行うことが可能な濃縮反応ステージを試作し、いくつかのモデル標識前駆体を用いて評価した。前駆体と反応生成物が受ける電気化学的な酸化還元反応を考慮して印加電圧、時間、温度を変化させ、18F-標識率を求めた。その結果、FDG前駆体では80%前後の標識率が得られたが、多くの前駆体では大きな未知の副反応生成物が観測された。また、チップから回収される反応溶液の容積が100μLと大きくなり、今後反応の詳細な検討と拡散を最小にするチップステージの開発を進める予定である。 ③心筋血流イメージングプローブとして期待される18F標識ホスホニウム誘導体([18F]TP-001)と世界的に注目を集めているタウイメージングプローブ([18F]THK5351)を取り上げ、マイクロリアクター合成とオンチップ標識反応を行った。いずれの場合もマイクロリアクター反応では、バッチ的な従来法に比べ同程度かそれ以上の効率であったが、オンチップでは、目的物はほとんど観測されなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
18F-標識フッ素イオンを用いる実験回数は、今年度からは使用料を払うことで優先的に確保したが、それでもサイクロトロンの利用日数の大幅削減のため十分ではなかった。また、オリジナルは試みとして開始したオンチップ標識反応は、予測した電気化学的な副反応により期待した大きな成果は得られなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は最終年度であり、研究の完成に向け、①蒸発チップの一層の改良、②オンチップ標識反応に適するプローブの探索と反応の最適化、③マイクロリアクター標識と固相抽出精製法の適用可能なPETプローブ数の増加、に努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度当初では、新しいオンチップ標識を行うチップステージを100万円の予算を計上して試作する予定であったが、外注での見積額が400万円以上と大幅に予算を超えたためこれを断念し、簡便なものを試作することで課題を実行した。このため、予算の使用に余裕ができ、一部を丘の実験器具購入に充てて残額を繰り越すこととした。
|
次年度使用額の使用計画 |
27年度の項かな濃縮チップや18O-濃縮水などの消耗品購入に充てる予定である。
|