研究課題
本研究の最終年度につき、未解決の課題である実用的な中間濃縮用蒸発チップの開発とオンチップ18F-標識反応に取り組み、本研究の完成を目指した。①昨年度試作した耐圧性蒸発チップを使用して、引き続きCH2Br2と[18F]CH2BrFの気液分離を検討したが、効率良く分離する方法は見出されなかった。濃縮チップを気液分離に用いるのは原理的に無理があると思われる。一方、反応液から溶媒を蒸発留去して濃縮乾固する利用法を検討したが、残渣を再溶解してチップから効率的に回収するために必要な溶媒量の最小化を試みたが、回収容量は導入した容量と大差なく単なる溶媒交換法に過ぎなかった。これらの結果から、実用的な蒸発チップの開発を断念した。②昨年度試作したオンチップ18F-フッ素標識ステージを改良して評価した。使い捨ての濃縮チップ電極表面の状態に依存して、電気分解による副生成物が増加する傾向があることが分かった。チップは高価なため、繰り返し使用するための電極表面の洗浄法を検討したが、有効な方法を見出すことはできなかった。今年度も引き続きいくつかの前駆体化合物でオンチップ標識を試みたが、モノフルオロ酢酸の中間体であるフルオロ酢酸エチルエステル(約60%)だけが効率的に合成できた。本研究では、マイクロフロー反応による種々のPETプローブの微量合成システム構築を目指しオンチップ標識と蒸発チップを中心に開発を進めてきたが、いずれにおいても実用的な方法を得ることができなかった。フロー反応では逐次的な反応処理に従って液量が増えざるを得なく、これを再濃縮し次のフロー反応に引き渡す革新的な方法が開発されない限りマイクロリアクターの明るい将来像は描けない。PETプローブの利点を生かした微量合成システムの開発は、再濃縮が容易なバッチ的な反応を採用することで達成されるのではと期待される。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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