研究課題/領域番号 |
25293260
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
川井 恵一 金沢大学, 保健学系, 教授 (30204663)
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研究分担者 |
石田 康 宮崎大学, 医学部, 教授 (20212897)
間賀田 泰寛 浜松医科大学, メディカルフォトニクス研究センター, 教授 (20209399)
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
玉井 郁巳 金沢大学, 薬学系, 教授 (20155237)
国嶋 崇隆 金沢大学, 薬学系, 教授 (10214975)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 精神神経疾患 / 個体差 / 個別化薬物療法 / 分子標的 / 放射性診断薬 / 分子イメージング / 遺伝子発現解析 / 神経化学的評価 |
研究概要 |
本研究では、精神神経疾患薬物療法の最適化を目的として、疾患モデル動物に種々の治療薬を投与し、神経機能に関連する放射性プローブを用いたイメージングにより同一個体における機能変化を評価するとともに、脳内遺伝子発現レベルの変化を解析し、薬効の個体差要因を明らかにする。さらに、治療効果に大きく影響する薬物代謝酵素活性や薬物動態の個体差要因となる機能性分子活性変動を患者個々に解析し、個別化薬物療法の基盤を与える新規分子標的放射性診断薬の開発を試みる。 これまでの検討において、偏側神経破壊パーキンソン病モデルラットの発症過程における脳内ドーパミン神経機能変化をドーパミンレセプターリガンドなどのPET製剤により解析した結果、線条体のD2レセプターでは急性期から顕著に増加するなど行動薬理試験や免疫染色解析結果と相関する変化を示した。また、この疾患モデルラットに胎仔中脳ドーパミン神経細胞を移植した移植群では、個体差が大きかったものの、機能回復に一定の効果が認められた。そこで、薬物投与モデルラットも作成し、疾患部位や移植部位の遺伝子発現解析より、神経機能に関連する機能性分子発現レベルと神経機能変化との関連を検討した。 加えて、薬効の個体差要因である肝臓などの薬物代謝酵素活性を測定する目的で、脳血流測定剤である123I-IMPのヒト肝ミクロゾームおよび組み換えヒトCYPによる代謝物を解析した結果、IMPの肝臓中代謝の第一反応酵素はCYP2C19であることを明らかにした(Drug Metab.Dispos.,40:843-846,2012)。さらに、新たに考案した薬物代謝酵素活性に依存した動態を示す分子イメージング法(日本国特許出願:2012-044231,2012)に基づき、生体内薬物代謝酵素活性を個別に測定し得る画像診断薬に必要な条件を満たす候補化合物を選択し、その標識体の合成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNAチップを用いて疾患モデルおよび薬物投与モデル動物の疾患部位や移植部位の遺伝子発現解析を実施し、正常部位との発現プロファイリングが直接比較することが可能となった。また、薬効の個体差要因である肝臓などの薬物代謝酵素活性測定に必要なCYPなどの薬物代謝酵素の特異性評価に関しては、ヒト肝ミクロゾームおよび組み換えヒトCYPによる評価系を確立した。また、これらの薬物代謝酵素基質のモデル画像診断薬として、既に臨床使用されている123I-IMPの第一代謝反応酵素を特定し、その診断法確立を目指している。さらに、生体内薬物代謝酵素活性を個別に測定し得る画像診断薬に必要な条件を満たす候補化合物を選択し、その標識体の合成を開始するなど、当初の研究計画に相当する成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、当初の研究計画通りおおむね順調に進展しており、疾患モデルおよび薬物投与モデル動物の作成と疾患部位や移植部位の遺伝子発現解析の実施やその結果のデータベース化、薬効の個体差要因である薬物代謝酵素の特異性評価系の確立など良好な結果が得られていることから、研究計画変更の必要性あるいは研究を遂行する上での問題点は特にない。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験用試薬の使用量が当初予定より少なかったことにより、次年度使用額(未使用額:15,121円)が生じた。 次年度の試薬及び実験動物購入費に充てる。
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