研究課題/領域番号 |
25293264
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
礒田 治夫 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 教授 (40223060)
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研究分担者 |
宮地 茂 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00293697)
福山 篤司 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40452198)
川井 恒 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50378147)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脳動脈瘤 / 血流解析 / 磁気共鳴 / 磁気共鳴流体力学 / 計算流体力学 |
研究概要 |
①3次元シネ位相コントラスト磁気共鳴法(3D cine phase-contrast MR imaging, 3D cine PC MRI)で得た脳動脈瘤データを解析し、脳動脈瘤と親動脈の血流解析を行う磁気共鳴流体力学(MRFD)が臨床現場で役立つか否かを検討しようとしている。この精度を検討するための基準値となる計算流体力学(CFD)が施行できるようにコンピュータを購入し、CFD用ソフトウエア(ANSYS Academic Research CFD)をインストールし、処理手順を確認し、流体解析できるようになった。 ②まず、脳血管よりも太い大動脈や頸動脈を模した直管ファントムや血管ファントム、ヒトボランティアを用いて、本学大幸キャンパスにある3T MR装置で、MRFDの精度検証を行った。大動脈を模した直管ファントムでは、マグネット中心部の流速測定精度は高いことが確認できた。また、頸動脈については、MRFDとCFDの各解析点における流速と壁剪断応力(wall shear stress, WSS)にはかなり高い相関が認められた。 ③脳血管に模した直管ファントム、脳血管ファントムを用いたMRFDの精度検証を行ったところ、MRFDによる時間平均流量の測定精度は比較的良好であった。MRFDによるWSSの測定精度は内頸動脈後交通動脈分岐部動脈瘤では不良であったが,直管ファントムや脳血管ファントムの内頸動脈では良好であった。また、今後、臨床検討を行うためのヒトを対象とした3D cine PC MRIの撮像法を確認し、確立できた。 ④研究責任者の前任地やその関連病院で、今までに得られたデータを基にCFDを施行した結果、高いWSS、高い壁剪断応力空間勾配(spatial WSS gradient, SWSSG)、高い勾配振動数(gradient oscillatory number, GON)は脳動脈瘤の成長の指標となり得るが、破裂との関係は不明だった。 ⑤平成25年年度末に、本学生命倫理委員会に本プロジェクトの申請準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3D cine PC MRIの撮影法がほぼ確立でき、本施設での脳血管のMRFD手順が確立できた。また、MRFDのデータを境界条件に用いるCFDの解析手順を確認し、施行できるようになり、MRFDと比較する基準値を得る方法が確立できた。さらに、直管ファントムや脳血管モデルを用いたMRFDとCFDの比較で、その精度が明らかになった。以上から、当施設で臨床データを収集し、CFDと比較しながらMRFDの有用性を確認できる準備が整った。 ただし、本研究プロジェクトを臨床現場で行うために必要な生命倫理委員会への申請作業、並びに研究責任者の前任地とその関連病院で過去に得られたデータの解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
①本学生命倫理委員会に本プロジェクトを申請し、承認を得る。 ②本学の症例について、前方視的に脳動脈瘤のMRFDとCFDの比較を行い、MRFDとCFDがどの程度一致しているかを比較検討する。脳動脈瘤の破裂症例があった場合、破裂脳動脈瘤と未破裂脳動脈瘤の血流動態の違いについて検討する。また、脳動脈瘤の形状変化があった場合、形状変化が生じる前に、形状変化の原因となり得る血流動態があるかどうかを検討する。 ③MRFDとCFDの結果に開離があった場合、等倍と3倍拡大のシリコンモデルを作成し、流体実験を理想的な状況で施行し、MRFDとCFDを詳細に比較・検討し、その後の解析の助けとする。 ④研究責任者の前任地とその関連施設で今までに得られた3D cine PC MRデータを基に、後方視的にMRFDとCFDがどの程度一致しているかも継続して比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画では、臨床データに関する研究内容を含んでいたが、予定していた本学での臨床データ収集まで研究が進まなかったため。 次年度の臨床データ収集に基づく研究に用いる。
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