研究課題/領域番号 |
25293265
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (30346267)
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研究分担者 |
福本 巧 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70379402)
赤坂 浩亮 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (20707161)
江島 泰生 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (70423233)
宮脇 大輔 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30546502)
上薗 玄 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60546480)
椋本 成俊 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (70634278)
西村 英輝 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80444610)
吉田 賢史 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80351906)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スペーサー / 粒子線治療 |
研究実績の概要 |
本年度は粒子線照射後のスペーサーの性状変化、厚みの変化に関しても検討した。炭素イオン線照射24時間以内の被験物質が神戸大学に到着後ただちに8週齢の雄のラットの正中腹部に埋植し、動物用CT撮影装置を用い、毎週1回のスペーサーの消褪速度(厚みの変化を)計測し記録した。埋植後9週間までの経時的な厚みの変化を各週におけるCT画像を用いて計測した。CT撮像は0.15mm間隔で撮像し、スペーサーの断面像の中で最大の厚みのCT画像を用い、CT装置付属のソフトウエアを用いて計測した。データは各群6匹の厚みの平均値はスペーサーの厚みは埋植後8週間経過しても85%以上維持していた。 これまでの前臨床試験の結果からPGAスペーサーの最適な密度を決定した。脊索腫などの骨軟部腫瘍では治療期間が約6週間かかるため、術後炎症が沈静化する期間を考慮すると埋植時から最長8週間のスペーサーの厚みの保持が必要であると判断した。その観点から、最適なPGAスペーサーの仕様を0.2 g/cm3と判断した。また、臨床試験に準備するスペーサーの厚みは前述の密度で5mm, 10mm, 15mmのものとし、挿入の困難さに応じて個々の症例で選択あるいは併用することとした。 スペーサーの密度を調整し、臓器に優しくフィットする柔軟性と臓器間圧力でも潰れない耐圧性とを両立する改良スペーサーを開発し、特許出願を完了している(2013年12月出願)。ヒト臨床試験の準備を進めている。さらに柔軟性と耐圧性を両立する改良スペーサーに係る特許出願を2013年12月に完了し、2014年12月に当該特許出願を基礎出願とする優先権主張を伴う国際特許出願を完了した。2014年12月に治験実施施設である神戸大学医学部附属病院及び兵庫県立粒子線医療センターで治験審査委員会(IRB)での承認を得て2015年1月から両施設において臨床治験を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現時点ではPGAスペーサーにおける最適仕様が決定され、臨床治験まで辿り着いており、今後は臨床的有用性と安全性の検討を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で、我々が開発した生体適合性で吸収性スペーサーは世界最先端といっても過言ではない。今後は手術術式に応じた次世代型のスペーサーの開発や、手術手技の標準化などが望まれる。
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次年度使用額が生じた理由 |
吸収性スペーサーの仕様が決定し、前臨床段階で使用する物品費は少なくて実験が遂行できた。次年度以降は更なる改良を重ねて次世代型のスペーサーの安全性を検証する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
現在のPGAを用いた不織布吸収性スペーサーに関しては臨床試験にてその有用性を検討していくが同時にその固定方法や適切な体内の部位の確定を動物実験にて実施する。また次世代スペーサーに関してはその到達方法も異なることから体内空間での展開方法、固定方法、厚みや剛性などの特質の調査のための試作や動物実験を行う予定であるが、次世代スペーサーの作製費用、実験動物費用、組織解析費用などに繰り越しした研究費を使用していく予定である。
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