研究課題
我々は従来から子宮頸癌を対象として、放射線治療後の予後に関与する分子生物学な検討を行ってきた。放射線治療前の患者血清からTOF-MOSを用いてアポリポ蛋白C-II (ApoC-II)を抽出し、ApoC-IIが予後予測因子として有用であることを特定した(平成19~21年度基盤研究(B)・19390326)。そして、単施設におけるApoC-IIが予後予測因子として有用であることを論文に発表した(Yoko Harima, et al. Apolipoprotein C-II could be a potential serum biomarker as a prognostic factor of locally advanced cervical cancer after chemoradiotherapy. Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys., 87: 1155-1161, 2013)。また、血清中のmiR-214*、miR-493*は無再発生存率、全生存率に関与することを見出した(平成23~24年度挑戦的萌芽研究・21659296)。そこで、多施設共同研究でもApoC-IIが予後予測因子として有用であるか否かを検証するために、日本放射線腫瘍学研究機構(JROSG)婦人科腫瘍グループ参加施設と連携して、各施設でIRB取得後に前向き研究を開始した(平成22~24年度基盤研究(B)・22390237)。本研究では引き続き参加施設と連携して、この研究を発展させ、真に重要な予後予測因子を確定し、臨床応用を目指すことを目的とする。JROSG婦人科腫瘍グループでは現在148例の登録が完了し、治療後の経過を観察中である。
2: おおむね順調に進展している
我々はアポリポ蛋白(ApoC-II)のモノクロナール抗体のElisa-Kit作製に成功した。当施設の単独研究として87例の子宮頸癌患者の放射線治療後予後予測因子としてApoC-II Elisa-Kitを用いた後向き研究を行い、ApoC-II Elisa-Kitの測定値は、全生存率、局所再発率に関与していた。この結果は現在論文投稿中である。多施設共同前向き研究でもApoC-II Elisa-Kitの測定値が予後予測因子として有用であるか否かを検証するために、日本放射線腫瘍学研究機構(JROSG)婦人科腫瘍グループ参加施設と連携して平成24年3月7日に試験を開始して、平成26年9月30日に148例の症例集積を完了し、現在各施設で治療後の経過を観察している。
多施設共同前向き研究でも血清ApoC-IIが予後予測因子として有用であるか否かを検証するために、日本放射線腫瘍学研究機構(JROSG)婦人科腫瘍グループ参加施設と連携して平成24年3月7日に試験を開始して、平成26年9月30日に148例の症例集積を完了し、現在各施設で治療後の経過を観察している。平成27年9月30日に経過観察を終了し、平成27年10月1日から解析し論文に発表する予定である。
我々が作成したApoC-IIのElisa-Kit測定のコントロールとなる試薬の調整に問題が生じて、測定に支障をきたしたため、中断せざるを得なかった。そのため、当初予定していた症例数を測定できなかった。また、患者血清中のmiRNA測定に関しても、調整に時間を要したために、期間中に測定ができなかった。
ApoC-IIのElisa-Kit測定のコントロールとなる試薬の調整について試行錯誤を繰り返したのちに、ようやく測定可能となった。したがって、次年度には本研究に必要な症例数を測定できると考えられる。また、患者血清中のmiRNA測定に関しても、目途がたったので、次年度には測定を予定している。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 2件)
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