研究課題
代謝型グルタミン酸受容体1型(mGluR1)が脳及びメラノーマや乳癌などの多くの腫瘍に高く発現することが知られている。申請者らはPET(陽電子断層撮像法)を用い、mGluR1の生理機能や疾患との関連を画像化する研究を進めている。現在まで申請者らは脳内mGluR1の新規PETプローブを開発し、世界で初めて臨床研究を開始した。今回、申請者らはmGluR1を標的として腫瘍の診断と治療ができる新規放射性プローブを創出し、mGluR1が腫瘍発生における役割を解明し、臨床へ向ける質的な腫瘍画像診断研究を目指す。H27年度まで申請者らは、メラノーマの診断及び治療薬による効果の判定に有用なmGluR1のPETプローブ[18F]FITMを開発した(Xie L, et al. Int J Cancer.2014)。また、[18F]FITMが脳内への移行性を抑えながら、高い腫瘍特異性を持つPETプローブの開発を目的として、診断と治療との兼用が期待できる[11C]IITMの開発に成功した(Fujinaga M, et al.J Med Chem.2015)。更に、ヨウ素原子を有する[11C]IITMに対し、治療用核種である131Iを標識し、治療用プローブである[131I]IITMの開発にも成功した(SNMMI2015、口頭発表)。最終年度であるH28年は申請者らが、[131I]IITMプローブによる内照射の治療効果評価を行った。mGluR1が過剰に発現するメラノーマ細胞をマウスに移植し作製した担癌マウスに対し、[131I]IITMまたは生理食塩水をそれぞれ投与し、経過観察を行った。その結果、[131I]IITM投与群では、生理食塩水投与のコントロール群と比較して、有意な腫瘍抑制効果が認められた。以上の結果から、[131I]IITMは、治療用放射性プローブとして好適であることが分かった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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