研究課題
研究担当者らは、血管新生を誘導するマトリックス様足場材料である血管新生制御マトリックスとともに多数のスフェロイド(直径数百μの細胞集塊)を移植して移植母床から各スフェロイド間に血管網を発達させることにより、トータルとして栄養血管網付き三次元再生組織を構築する方法を提唱してきた。本研究ではスフェロイドの機能低下を回避しつつ栄養血管網を誘導する技術の開発を目指した。1.再生組織構造体内における血管網構築実験:H26年までの研究で潅流システムだけでは再生組織構造体の宿主への生着が得られないことが示されたため、本年度は構造体内に血管内皮細胞を包埋し、予め構図体内に血管網様構造を用意しておくことにより、移植後の速やかな血管網の構築ができないかを検討した。血管新生制御マトリックスに様々な濃度で血管内皮細胞を包埋して培養することにより、培養後1日にしてマトリックス内に三次元の血管網様構造を作ることに成功した。そして、この条件で作成した構造体をヌードラットへ移植したところ、移植母床から構造体内に伸展した新生血管と血管網様構造体が速やかに連結して血管網様構造体内部に血液が流れ、実際に血管網として機能することが明らかになった。これにより再生組織への迅速な栄養網付与技術の基盤を確立することができた。2.潅流システムを用いた再生組織構造体の大型化への試み:栄養血管網付与技術の基盤確立を受け、再生組織構造体の大型化にむけた実験を実施した。心筋スフェロイドを包埋した構造体を徐々に大型させながら心筋組織の形態変化や拍動について経時的に観察した。しかし、作成された構造体は、viabilityは保つものの時間の経過とともに収縮していくことが明らかになった。収縮に対応させ、新たな細胞ソースを追加していくことを試み、直径6mm高さ4mmの再生心筋組織を作成することに成功した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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