研究課題/領域番号 |
25293274
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
塚原 完 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (00529943)
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研究分担者 |
松田 佳和 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (20377633)
羽二生 久夫 信州大学, 医学部, 講師 (30252050)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 動脈硬化症 / 生理活性脂質 / 核内受容体 |
研究実績の概要 |
本研究では我々が新規に発見した内在性PPARγ アンタゴニストcPA による内膜肥厚形成の抑制作用を利用した動脈硬化症治療に向けた治療標的分子を同定することを目標とし、LPAおよびcPAにより発現が制御される細胞増殖および炎症に関連する遺伝子の同定を行う。申請者はcPA が新生内膜肥厚の抑制に関与する因子であることを明らかにしたが、これらの現象を制御する病態分子機構については未だ不明のままである。今後、創薬を含めた臨床試験へ移行するためには、これらの分子機構の全解明が必須である。そこで、平成26年度ではヒト動脈内皮細胞(HCAECおよびD-HCAEC細胞)を利用し、各薬剤処理をした細胞からRNA を抽出し、遺伝子発現解析を行った。LPAで誘発させたヒト動脈内皮細胞を対照サンプルとしたときに、cPAでヒト動脈内皮細胞を供処理した試験区において、遺伝子の発現が制御されたもので、増殖や炎症に関与する遺伝子を探索し同定した。さらにLPAに特異的に結合する蛋白質としてFABP3が明らかになり、本遺伝子はLPAで誘発された内膜肥厚の形成を促進する可能性が示され、治療標的分子の一つであることが期待された。今後、同定された遺伝子の中から、cPA に対する反応が最も強く、増殖・炎症に関与するものを選びだし、それらのcPA による制御をリアルタイムPCR、ウエスタンブロット法、免疫染色法等を組み合わせた生化学的解析法によるin vitro 実験で裏付けを取る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに達成するべきin vitro実験は終了しており、本年度は動物実験に移行できるため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に明らかにした治療標的遺伝子候補に対するsiRNA 発現アデノウイルスベクターを構築する。アデノウイルスベクターはホ乳類細胞に遺伝子を導入する最も強力な方法の1つであるが、通常の細胞には感染することは可能であるが増殖することはないため、安全かつ高効率な遺伝子導入法として個体レベルで遺伝子機能を解析するツールとして非常に有用である。cPA, LPA で処理させた新生内膜肥厚内へsiRNA 発現アデノウイルスベクターを導入し、内膜肥厚形成の抑制に対する治療効果を検討する。内膜肥厚形成の抑 制作用を呈した遺伝子を新規治療標的分子とする。
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