研究課題/領域番号 |
25293278
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
有泉 俊一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40277158)
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研究分担者 |
山本 雅一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60220498)
中山 正道 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00338980)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10312852)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
後藤 直宏 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (60323854)
宇都宮 洋才 和歌山県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60264876)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肥満 / 脂肪性肝炎 / 肝発癌 / Nrf2 / 動物モデル |
研究概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎の発症機序には、腸内細菌のbacterial translocationによるエンドトキシン(LPS)の増加、Kupffer細胞のLPS処理能力の低下が慢性肝障害の一因となっている可能性がある。分担者の筑波大正田/蕨らの作製したp62遺伝子およびNrf2遺伝子の二重欠失マウス(p62:Nrf2-DKO)は、通常食餌による飼育下でNASHを自然発症するマウスである。本マウスは、10週齢においてその腸管上皮の萎縮と脱落が観察された。これに関連して、腸管透過性が亢進していることが示唆され、LPS によるNASHの発症と進展が推測された。p62:Nrf2-DKO のKupffer細胞の貪食能についてSPIO-MRIにて評価検証した。マウスは、WT、Nrf2-null、p62-null、p62:Nrf2-DKOの4系統のマウスを用いた。8週齢でのSPIO-MRIのシグナル低下量は、WTに比べp62-null、p62:Nrf2-DKOは有意に低下した。また、Nrf2-nullマウスも有意に低下した。さらに、25週齢のSPIO-MRIのシグナル低下量は、WTに比べp62-null、p62:Nrf2-DKOは有意に低下した。p62:Nrf2-DKOマウスでは、8週齢NASH発症前、25週齢NASH発症時ともに、T2値の低下量の減少がみられた。p62:Nrf2-DKOマウスでは、Kupffer細胞の貪食能が低下していると考えられる。以上のことからp62:Nrf2-DKOマウスにおいてKupffer細胞の貪食能の低下による肝臓内LPSの増加はNASHの発症と進展に重要な因子であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
p62:Nrf2-DKO 非アルコール性脂肪性肝炎の自然発症モデルマウスを用いて、Kupffer細胞の貪食能についてSPIO-MRIにて評価検証したところ、p62:Nrf2-DKO NASH自然発症モデルマウスでは、8週齢非アルコール性脂肪性肝炎発症前、25週齢NASH発症時ともに、T2値の低下量の減少がみられた。このことより、p62:Nrf2-DKOマウスでは、肥満症とは独立してKupffer細胞の貪食能が低下していると考えられ、Kupffer細胞の貪食能の低下による肝臓内LPSの増加はNASHの発症と進展に重要な因子であることの重要な事実を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
4系統マウスの内臓脂肪と肝より,それぞれ,脂肪細胞,Mφ,Kupffer細胞を分離培養する.エンドトキシンによる自然免疫系の活性亢進を検討する.脂肪細胞の細胞機能として,脂肪細胞の形成・分化に関連する遺伝子発現を測定し,アデイポサイトカイン産生能,脂肪酸代謝とトリグリセリド合成能と対比する.Nrf2賦活化を誘導するスルフォラファン,2’,3’-dihydroxy-4’,6’-dimethyoxychalcone (DDC),oleanolic acid 1-[2-cyano-3,12- dioxooleana-1,9 (11)-dien-28-oyl]imidazole (CDDO-Im)を投与し,Mφ,Kupffer細胞の形質変化を観察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度4月期におけるマウス血液検査の外注費用,病理組織標本の作製費用,また,医薬材料費に使用する. 次年度4月期におけるマウス血液検査の外注費用,病理組織標本の作製費用,また,医薬材料費に使用する.
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