研究課題/領域番号 |
25293279
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
長屋 昌樹 明治大学, 公私立大学の部局等, 特任教授 (90329300)
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研究分担者 |
渡辺 將人 明治大学, 公私立大学の部局等, 講師 (00321688)
長嶋 比呂志 明治大学, 農学部, 教授 (50318664)
梅山 一大 明治大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70342699)
松成 ひとみ 明治大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70639517)
新井 良和 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90614769)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 膵島移植 / 膵ランゲルハンス糖 / 糖尿病 / クローンブタ / 拒絶 / ヒト糖尿病モデル / 赤紫蛍光蛋白Plum |
研究実績の概要 |
1型糖尿病患者には、生活の質を改善させるべく膵ランゲルハンス島 (以下、膵島)移植療法が行われている。膵島移植を受けた患者数は2005年まで増加したが、この年を境に漸減した。膵島移植の患者数の漸減の理由の一つに膵島の絶対的な生着率の低さがある。生着率の低さの原因には1.instant blood mediated inflammatory reaction、2.膵島に供給される酸素不足、3.膵島が高血糖にさらされる、などの原因が挙げられる。新たに適切な移植先、方法を見出さない限り、移植された膵島の絶対的な生着率の低さという問題は克服できない。本研究では、ドナーの膵島がレシピエント体内で拒絶を受けない仕組みとなる2種類のクローンブタモデルを作出し、膵島移植時の適切な移植部位の探索を目的としている。膵島移植における適切な移植部位を探索する場合、レシピエント体内で生存し続ける膵島を追跡するため、膵島が蛍光蛋白マーカーを保有すれば、移植後の細胞の追跡は長期でも容易となる。一方、緑色蛍光蛋白 (GFP)に代表される蛍光蛋白には抗原性があり、抗原性に起因する拒絶反応が移植細胞へ影響を及ぼし、長期の追跡を不可能にさせる。蛍光蛋白+個体と、その変異体である非蛍光化変異型蛋白+個体の2種類を体細胞クローン技術で作出すれば、蛍光蛋白+ブタのドナー膵島が非蛍光蛋白+のレシピエントとなる糖尿病ブタに移植されても、レシピエントブタの体内でドナー膵島は免疫寛容となり、免疫拒絶を受けることはない。平成26年度達成目標は、1.平成25年度の赤紫蛍光蛋白Plumまたは非蛍光化変異型蛋白Plumを発現する2種類のクローンブタを作出することを継続し、移植に十分な数の両個体の確保、2.非蛍光化変異型蛋白Plum+の糖尿病ブタの様々な場所に移植された蛍光蛋白Plum+のブタ膵島を回収し、分子生物学的手法にて膵島の変化を定量的に解析、適切な移植部位を検討することであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度達成目標は、1.平成25年度の赤紫蛍光蛋白Plumまたは非蛍光化変異型蛋白Plumブタを発現する2種類のクローンブタを作出することを継続し、移植に十分な数の両個体の確保、2.非蛍光化変異型蛋白Plum+の糖尿病ブタの様々な場所に移植された蛍光蛋白Plum+のブタ膵島を回収し、分子生物学的手法にて膵島の変化を定量的に解析、適切な移植部位を検討することであった。非蛍光化変異型蛋白Plumクローンブタの作出には、まず、体細胞核移植により非蛍光化変異型蛋白Plumブタを作出し、この胎仔より細胞を確保して、再度、体細胞核移植を行う必要がある。ブタは約120日の妊娠期間であるため、非蛍光化変異型蛋白Plumブタの作出には多くの時間が費やされるが、今回は死産となってしまったことが遅延の原因である。
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今後の研究の推進方策 |
非蛍光化変異型蛋白Plumブタは死産となったものの、非蛍光化変異型蛋白Plumブタを証明するために必要な各種データは確保できたため、検証後、もう一度非蛍光化変異型蛋白Plumブタの作出を試みる。また、非蛍光化変異型蛋白Plum+の糖尿病ブタの様々な場所に移植された蛍光蛋白Plum+のブタ膵島を回収し、分子生物学的手法にて膵島の変化を定量的に解析、適切な移植部位を検討する課題には以下のごとく対策を取った。赤紫蛍光蛋白Plumまたは非蛍光化変異型蛋白Plumブタの作出に用いた核ドナー細胞の繊維芽細胞は共通で、この細胞にそれぞれを作出するための遺伝子を導入し、それぞれのブタの作出を行った。そのため遺伝子導入前の繊維芽細胞をクローン細胞として作出したクローンブタに、このブタの細胞にcarbocyanine dyeで発色させた細胞、あるいは赤紫蛍光蛋白Plumまたは非蛍光化変異型蛋白Plumの細胞を移植して、これらを回収、解析を行う事とし、蛋白に抗原性があるか否かの検討を行う事とした。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度達成目標は、1.平成25年度の赤紫蛍光蛋白Plumまたは非蛍光化変異型蛋白Plumブタを発現する2種類のクローンブタを作出することを継続し、移植に十分な数の両個体の確保、2.非蛍光化変異型蛋白Plum+の糖尿病ブタの様々な場所に移植された蛍光蛋白Plum+のブタ膵島を回収し、分子生物学的手法にて膵島の変化を定量的に解析、適切な移植部位を検討することであった。非蛍光化変異型蛋白Plumクローンブタの作出のために、2度の体細胞核移植により非蛍光化変異型蛋白Plumブタを作出し、4頭の胎仔をえたものの死産となったため、赤紫蛍光蛋白Plumブタの膵島を移植できなかった。このため、1.赤紫蛍光蛋白Plumブタの膵島分離を行わなかった。2.非蛍光化変異型蛋白Plumブタの死産により、膵島の非蛍光化変異型蛋白Plumブタへの移植後の解析が行うことが出来なかった、ことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
上述のように、本問題に対する対応策を取り、本年度は 蛍光蛋白が拒絶の原因になるかを解析するためのシステムつくり、並びに解析、さらに、赤紫蛍光蛋白Plumまたは非蛍光化変異型蛋白Plumブタの再度の作出を行い、本年度の目的の検証を行っていくこととする。
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