研究課題/領域番号 |
25293281
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
安波 洋一 福岡大学, 医学部, 教授 (00166521)
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研究分担者 |
小玉 正太 福岡大学, 医学部, 教授 (90549338)
伊東 威 福岡大学, 医学部, 助教 (70634400)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 膵島再生 / 膵島移植 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
本研究は膵島移植の手法を用い、移植膵島障害の制御により発現すると考えられるインスリン産生細胞の再生誘導の解明を目的にしている。 平成25年度はRAGE(Receptor for Advanced Glycation Endproducts)を介した新たな移植膵島障害制御法を見出した。具体的にはRAGE欠損膵島では移植膵島障害が発現せず、生着率が著しく向上する知見を得て、移植膵島障害にドナー膵島のRAGEが必須の役割を担っていることを明らかにした。 並行して新規知見のヒト膵島への適応を考え、米国から搬送されたヒト単離膵島をドナーとしてSTZ-糖尿病NODscid マウスに移植する実験系を確立した。 平成26 年度はRAGE欠損 vs 野生型マウス単離膵島を用いて両者の違いをマイクロアレーで抽出し、RAGE欠損膵島ではGLP-1Rの発現が優位に上昇していること、またRAGE欠損膵島をGLP-1阻害剤(Exendin 9-37)で移植前処置すると効果がなくなることにより、RAGE欠損膵島の生着率向上はGLP-1Rを介した経路によるが証明できた。更には野生型マウス単離膵島にGLP-1アナルグ(liraglutide)で前処置、移植後はレシピエントに投与(皮下、60日間)すると移植膵島障害が制御できることも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画通りに研究成果が得られており、順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度までの成果でRAGE欠損膵島をドナーとして用いるとGLP-1Rを介して移植膵島障害が発現しないことが明らかになった。移植膵島障害が制御後には膵島再生が誘導されている可能性が高く、事実予備実験でRAGE欠損移植膵島のインスリン含有量は移植後120日で単離膵島の2倍であった。平成27年度では移植後経時的に移植膵島インスリン含有量を測定し、増量時期を同定する。更にはインスリン産生細胞分化にかかわるメッセージを探索する。特に前駆細胞であるNgn3細胞に着目し、解析を行う。Ngn3細胞は胎児膵臓に発現する膵内分泌細胞前駆細胞で、予備実験で移植後60日以降に移植膵島に発現する知見を得ている。 soluble RAGEを含め、RAGE阻害剤の効果を野生型マウス単離膵島をドナーとして用い判定し、有用性が確認できればヒト膵島に応用する。
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