研究課題/領域番号 |
25293284
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
檜井 孝夫 広島大学, 大学病院, 講師 (10444689)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大腸癌 / マウスモデル |
研究概要 |
(1)左側大腸癌(CIN型)モデルでの腫瘍の解析と薬効評価モデルの確立については、CPC-Apcマウスを作製し、腫瘍形成についての基礎的データを持っている。今年度中に、CPC;Apcにおける造腫瘍能と腫瘍発育経過を細径内視鏡を使って経時的に観察が可能となり、Sulindacを投与して、薬効評価ができるモデルを確立できた。現在、論文を投稿準備中である。 (2)右側型大腸癌(MSI型)マウスで得られた大腸腫瘍の網羅的遺伝子解析に関しては、病理組織学的にサブクラス分類し、それぞれのサブクラスから3-5検体を選択し、転写産物の発現プロファイルを網羅的遺伝子発現解析用のaffymetrixのMouse Gene 1.0 ST Array、28,853 geneを用いて解析を行った。 (3)新規発現誘導型Creマウス(Cre-ER)と新規左側大腸癌ダブルノックアウトモデルの作製に関しては、ミシガン大学のFearon研究室との共同研究で、CDX2P-Cre-ERマウスを確立し、凍結受精卵として受け取っている。個体複製後、Rosa26Rマウス(Creレポーター遺伝子マウス)でタモキシフェンによる発現誘導を確認し、Apcのノックアウトマウス、CDX2P-Cre-ER;ApcloxP/loxPマウス(Apcホモ)を作製し、左側大腸での造腫瘍能を確認する。 (4)CDX2P-G22-Creから得られたApcおよびKrasの複合的ダブルノックアウトマウスから浸潤能の高い腫瘍が得られた。マイクロアレーによって浸潤に関係する候補遺伝子を約10種類程度まで絞り込むことができた。現在、患者側のプロファイル(ステージ、悪性度、発生部位、薬剤の奏効性など)との相関性について、検討をおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記載した複数の実験において、マウスモデルの確立とそこから得られた腫瘍の網羅的遺伝子解析が行われており、概ね計画通りに研究が進展しているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の研究計画については、ほぼ計画目標が達成された。2年目についても研究計画書に基づいて実験を推進していく。(1)左側大腸癌モデルでの腫瘍の解析と薬効評価モデルの確立し、ターゲット遺伝子の発現を抑制する遺伝子発現ウイルスを投与し、腫瘍の増殖の抑制能を評価する(2)右側型大腸癌マウスで得られた大腸腫瘍の網羅的遺伝子解析に関しては、プロテオーム解析を行い標的候補分子を30-50個抽出する。(3)新規発現誘導型Creマウス(Cre-ER)を用いて複合的遺伝子改変マウス(ダブルノックアウトマウス)の作製をおこなう。発生した腫瘍の浸潤能・転移能の獲得の有無を観察するとともに、原発巣と転移巣からの遺伝子プロファイリングにより浸潤・転移に関与する標的分子の解析を進める。(4)浸潤に関係する候補遺伝子(約10種類程度)を使った臨床研究を開始する。患者側のプロファイル(ステージ、悪性度、発生部位、薬剤の奏効性など)との相関性について検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
残額が少なく、16,788円丁度を使うことができず、次年度使用額が生じた。 次年度の予算と合わせて試薬などを購入予定である。
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