研究課題
本研究では私共がこれまでに確立した自然発生による左側大腸癌(CIN型)モデルや右側大腸癌(MSI型)モデルを応用して、これらのモデルでノックアウトされているApcに加え、Kras, TGFβIIR,Ptenなどの別の大腸癌発癌ドライバー遺伝子を1つ追加してノックアウトした複合的遺伝子改変マウスを作製した。同時に新規大腸上皮特異的Cre発現誘導マウス(CDX2P-Cre-ER)を作製し、左側大腸型でホモのダブルノックアウトマウスを作製した。これらのマウスにおいて病態の経過観察後、腫瘍細胞(原発巣、転移巣)を回収した。マイクロアレイ法を用い、腫瘍間の遺伝子発現プロファイルを比較、転写産物の発現変化を示した遺伝子をバイオマーカー候補遺伝子として絞り込んだ。変異型Krasに関しては、Kras変異型マウスとKras野生型マウスを作製し比較した。Kras変異型腫瘍でGlut1転写産物とタンパク発現が増加しており、大腸癌細胞株やヒト大腸癌の免疫染色でGLUT1の発現がKRAS変異と有意に相関した。逆に、変異型Krasmマウスの腫瘍では、Rcan2(regulator calcineurin 2)が発現抑制されており、RCAN2は、腫瘍先進部での細胞増殖抑制に関与する癌抑制遺伝子として機能している可能性が示唆された。またRCAN2ならびにそれが制御するCalcineurin-NFAT経路はKRAS変異型大腸癌の新規分子治療の標的となりうることが示唆された。TGFbRII欠損モデルでは、GsdmcがTgfbr2変異に伴い発現亢進していた。またGSDMCは大腸癌の発癌過程で発現し、細胞増殖を亢進している癌関連遺伝子であることが示唆され、GSDMCは、TGFBR2変異大腸癌の新規分子治療の標的となりうることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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