がん性腹膜炎は消化器がんや卵巣がんにおける非常に難治性の病態であり、現在までに有効な治療法が確立されておらず、またその形成メカニズムも不明であった。 本研究においては、がん細胞の生着=腹膜播種形成に従来必須と考えられていた“Milky spots”が必須ではなく、腸間膜上の傍血管脂肪織に存在するSCF+/CXCL12+で規定される造血幹細胞ニッチ様細胞こそが重要であることを発見し、従来の仮説と異なる転移様式が存在していることを突き止めた。すなわち、この極めて難治性の病態の治療法開発を推進する上で、Sp1/CXCR4/CXCL12カスケードが合理的な創薬ターゲットとなることを証明した。
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