研究課題/領域番号 |
25293288
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
高尾 尊身 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 特任教授 (80171411)
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研究分担者 |
松山 隆美 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 客員教授 (30145479)
吉満 誠 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70404530)
永井 拓 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (90363647)
松原 修一郎 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 准教授 (60199841)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | pancreatic cancer / CD133 / FRb receptor / macrophage / tumor microenvironment / fibrotic stroma / nude mouse / miR-30 |
研究実績の概要 |
1.葉酸リセプター抗体:葉酸リセプターαとβはアミノ酸レベルで70%のホモロジ―があるが、双方に反応する抗体は作成されていない。今年度、葉酸リセプターαとβに反応する抗体を作成した。この抗体は、がん組織の葉酸リセプターα発現がん細胞と葉酸リセプターβ発現がん関連マクロファージに反応した。また、これらの細胞に、ADCC,CDC,ADCP能を示した。更に、CDRグラフト法により、ヒト化抗体を作成した。抗体の親和性は10-9であり、今後がんのイメージングや抗体療法に有用と考えられる。 2.CD133+膵癌細胞浸潤におけるFRβ発現の腫瘍関連マクロファージ (FRβ-TAMs)との関連性:ヒト膵癌幹細胞のモデル株としてCD133+膵癌細胞株(M9)を樹立し、CD133の機能解析のために同細胞のCD133を knockdownしたshCD133 M9細胞株を本研究に供している。ヒト膵癌細胞の浸潤メカニズムを検討するために、ヌードマウスでcaerulein慢性膵炎モデルを作製し、同マウスと正常ヌードマウスにM9を同所移植した。炎症の有無による腫瘍形成能、組織学的所見に有意な相違は見い出せなかったが、M9で腫瘍周囲の線維化が高度で、M9の線維化部分にはマクロファージの浸潤度が有意に高かった。CD133+膵癌細胞は線維化の促進およびマクロファージの誘導能が高いことが示唆された。 3.CD133+膵癌細胞におけるmiRNA発現の解析:CD133+膵癌細胞(M9)におけるmiRNAの役割を調べるため、miRNAマイクロアレイ法でM9とshCD133 M9のmiRNA発現プロファイルを比較した結果、M9でmiR-30ファミリーの発現が高いことが分かった。同細胞にレンチウイルスを用いてmiR-control, miR-30a, 30b, 30cを遺伝子導入し、性質の変化を解析した。増殖能、スフェア形成能に関しては変化が見られなかったが、遊走能、浸潤能、ゲムシタビン耐性についてはmiR-30a,30b,30c導入細胞がコントロール細胞に比べて増加することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進展している。セルレイン膵炎ヌードマウスモデル作成に関して、至適セルレイン濃度の設定が難しく想定以上の時間を要した。かつ、薬剤性炎症の有無にかかわらずCD133+とCD133-の膵癌細胞の腫瘍形成能に差は無く、CD133+膵癌細胞に線維化が高度に認められた。この結果より、NOJマウスを用いる実験モデル作成にはより多くの時間を要し、かつ、その結果に意義が認められない可能性が考えられる。したがって、予定を変更し、ヌードマウスモデルにおける浸潤性マクロファージの免疫染色による解析を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.本年度に作成したFRα+βレセプターに対するヒト化抗体の機能解析を進める。 2.免疫不全マウスをもちいて、移植されたCD133+膵癌周囲の線維性間質に集積するFRβ-マクロファージ、新生血管、等を免疫染色で解析し、CD133―膵癌と比較検討する。 3.CD133+膵癌細胞の浸潤能とmiR-30 familyの関連性を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費購入が予定の額より安価だったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の抗体購入に使用する予定である。
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