研究課題/領域番号 |
25293290
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
松尾 洋一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40381800)
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研究分担者 |
竹山 廣光 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00216946)
高橋 広城 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30381792)
柴田 孝弥 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90592501)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 膵癌 / 血管新生 / protein kinase D / 新規抗癌剤開発 / 胃癌 |
研究実績の概要 |
【目的】Protein Kinase D (PKD) はserine/threonine kinaseファミリーの一つで,細胞の増殖・成長に関与するといわれているが,消化器癌におけるPKDの具体的な役割と,PKD抑制による抗腫瘍効果は明らかでない.膵癌や胃癌におけるPKDの生物学的役割を検討した.【方法】(1)膵癌細胞株Panc-28を用いてPanc-28 mock,およびPanc-28 shPKD(PKD抑制株)を作成した.それにより両者の増殖,浸潤,血管新生能の変化をMTS-assay, invasion assay, Matrigel tube formation assayで比較検討した.(2)胃癌細胞株MKN45を用いてPMAでPKD活性を亢進し,血管新生因子(VEGFおよびIL-8)発現の変化を検討した(qPCR).PKD inhibitor (CID 755637)を用いて,分泌が亢進した血管新生因子が抑制されることを確認した.【結果】(1)Panc-28 shPKDおよびPanc-28 mockのPKDの発現の差異をWestern blottingで確認し,Panc-28 shPKD でPKD発現が抑制されていることを確認した.PKDの抑制により,増殖能,浸潤能,血管新生能は抑制された.(2)MKN45をPMAで刺激することにより,血管新生因子VEGFおよびIL-8発現は亢進した.これは,PKD inhibitorによる抑制された.【結語】消化器癌において, PKDは増殖および腫瘍血管新生に関与しており,これの抑制が新たな抗腫瘍効果に結びつく可能性が示唆された.今後はin vivoでの検討を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
消化器癌におけるPKD発現と増殖,血管新生の関連を,膵癌および胃癌細胞で確認できており,このシグナルの制御の治療への応用が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
PKDが血管新生におよぼす影響を多種の消化器癌で確認する. in vivoで,PKD inhibitorが抗腫瘍効果を有することを確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
PKDの抗腫瘍効果を,in vitroでは血管新生に着目して,実験をすすめる必要がある. in vivoでもPKDの抑制が抗腫瘍効果を有することを確認する必要がある.
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次年度使用額の使用計画 |
1)PKDが血管新生に及ぼす影響の検討 in vitro angiogenesis assayを用いてPKDが癌細胞由来の血管新生因子VEGFおよびIL-8発現を亢進することにより,血管内皮細胞の管腔形成能を亢進することを確認する.また,PKD阻害薬でこれが抑制されることを確認する. 2)nude mice PKD抑制の抗腫瘍効果の検討(in vivo) 膵癌または胃癌細胞をnude miceに同所性に移植する.14日後から抗PKD低分子化合物(smi PKD: CID755673)を経口投与する.腫瘍サイズの変化を測定する. Ki-67染色,CD31染色,Tunel染色などの免疫染色を行い,apoptosisや血管新生などの関与を検討する.
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