研究課題/領域番号 |
25293295
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
古森 公浩 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40225587)
|
研究分担者 |
成田 裕司 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00528739)
児玉 章朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10528748)
杉本 昌之 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00447814)
室原 豊明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90299503)
伊藤 猛雄 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70159888)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 血管内膜肥厚 / EDHF |
研究概要 |
ウサギ正常外頸静脈と静脈グラフト血管における、内皮細胞刺激薬アセチルコリン(ACh)の弛緩反応と平滑筋細胞膜電位変化を比較検討した。全ての実験には、シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるジクロフェナクナトリウム(3マイクロM)を投与した。 【内皮依存性弛緩反応】ウサギ正常外頸静脈で、ACh(10-9-10-7 M)は濃度依存性に血管を弛緩させた。この弛緩反応は内皮除去により消失した。NO合成阻害薬ニトロアルギニン(0.1 mM)はAChの弛緩反応を右へシフトさせたが最大反応には影響を与えなかった。また、ニトロアルギニン存在下のAChの弛緩反応は、apamin (SKCa チャネル阻害薬, 0.1マイクロM)+charybdotoxin [ChTx; IKCa, BKCaおよびKV1 チャネル阻害薬, 0.1マイクロM)により抑制された。一方、内皮を温存した静脈グラフト血管で、ACh(10-7-10-5 M)は血管を弛緩させなかった。 【内皮依存性膜過分極反応】ウサギ正常外頸静脈平滑筋細胞の膜電位は-50 mVであり、内皮除去はこの膜電位に影響を与えなかった。ACh(1x10-7 - 3x10-6 M)は内皮依存性に平滑筋細胞膜を過分極させた。AChによる過分極は、NO合成阻害薬ニトロアルギニン(0.1 mM)によって影響をうけず、apamin (0.1マイクロM)+charybdotoxin (0.1マイクロM)で抑制された。また、BKCa チャネル阻害薬iberiotoxin (0.1マイクロM)、inwardly rectifying K+ チャネル阻害薬Ba2+ (30マイクロM)、Na+-K+-ATPase inhibitor ouabain (1マイクロM)やATP-sensitive K+ (KATP) channel blocker glibenclamide (10マイクロM)はこのAChの過分極反応に影響を与えなかった。このことより、ウサギ正常外頸静脈において、AChはSKCa, IKCa, KV1.3の活性化により内皮細胞を過分極させ、平滑筋細胞を過分極させ、血管を弛緩させる可能性が明らかとなった。一方、AChは内皮を温存した静脈グラフト血管の平滑筋細胞の膜電位に影響を与えなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々の今年度の研究成果で、ウサギ正常外頸静脈のEDHFの特性について明らかにし、平滑筋細胞の過分極と、血管の弛緩の関連について明らかになった。そこで今後は、さらにこのメカニズムを明らかにするとともに、静脈グラフトのEDHFについての検討を行っていく。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、静脈グラフト血管の内皮細胞膜電位に及ぼす種々のKCa channel agonistsの効果や静脈グラフト血管内皮細胞の細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)に対する受容体非依存性Ca2+流入活性化薬A23187(カルシウムイオノフォア)の効果などについて検討を進めている。今後は静脈グラフトのEDHFについての検討を行っていく。
|