研究課題/領域番号 |
25293299
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
神田 圭一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60295649)
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研究分担者 |
渡辺 太治 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (20448723)
坂井 修 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (10298432)
夜久 均 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50295648)
中山 泰秀 独立行政法人国立循環器病研究センター, 生体医工学部, 室長 (50250262)
山南 将志 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (30438204)
上地 正実 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90296426)
田地川 勉 関西大学, 工学部, 講師 (80351500)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生体内組織形成技術 / 小口径代用血管 / 自家移植 / 冠動脈バイパス術 / 下肢動脈バイパス術 |
研究概要 |
本年は主に基盤技術の開発を重点的に行った。 A.急性期抗血栓性付与の取り組み 移植後約2~4週間は高い抗血栓性付与が望ましい。水溶性アルガトロバンを用いて検証を繰り返した。 B.バイオチューブの物理的機能改善 当初の移植実験では先端部にスポンジ状の吻合用カフを用いて補強していたがそのため、吻合部のコンプライアンスミスマッチが懸念された。手技的な工夫により補強カフを用いずに吻合可能となった。また実際の臨床使用時に必要とされる端側吻合も行える様になった。 C.3Dプリンターを用いた複雑な微細構造の実現 これまではCADによる鋳型設計後、コンピューター制御のスクレイパーでアクリル樹脂を削り取り更にシリコン鋳型を作成する過程をとっていたが、3Dプリンターによりラボにおいても細かな設計変更を鋳型形成に迅速に反映する事が可能となった。 D.形成促進技術の開発および 保存用代用血管としての応用技術開発 バイオチューブ形成には現時点では約1ヶ月間を要するため、組織形成促進技術の開発を行っている。光刺激やエオシンを導入する事により組織化促進を試み、より短期間で吻合に十分な強度を持つバイオチューブ作成が可能となりつつある。 またこれと平行して、保存グラフトとしての応用の可能性を求め、架橋剤固定を行った他種保存グラフトにも取り組みはじめた。主に小動物実験により、様々な処理剤を用いた前処理での組織反応の比較を始めた。 更に大動物によるバイオチューブ移植を進めるための体制作りにも取り組んだ。昨年度末に搬入した豚を用いて(今回の支出には含まれず)バイオチューブ作成を試みた。豚で作成したバイオチューブをビーグル犬に異種移植を行う事が確認できたため、バイオチューブを作成しやすい動物でバイオチューブを作成し、標的となる大動物に異種移植する可能性も含めて、大動物での移植実験も徐々に進めていけるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のごとく、基盤技術の開発は計画書通りに進行している。大動物実験についても本年度より予定の動物搬入が行われ、実験が開始できる状態となるため、計画していた3カ年における全体の進行はほぼ順調と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は計画どおり、E.支援技術開発とその応用として、組織剛性・弾性の非侵襲的評価法のScanning Haptic Microscope (SHM)開発を継続する。本システムを用いて、移植前及び移植後のバイオチューブを生体動静脈と比較し、経時的な組織成熟過程を観察する。F.QC(クオリティーコントロール)としての形成過程評価に取り組む 動物種差・個体差などにより、組織形成の速度・成熟度が一定しない可能性ある。このため基材の摘出前に組織形成が順調に行われている事が解ればQCの面でもより完成度の高いシステムとなる。 G.動物移植実験モデルの設計と前臨床試験として、自家移植実験モデルを完成させ研究期間内に、大動物の冠状動脈または下肢の long バイパス術を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
基盤研究は予定以上に進行しつつあり、当初の計画より結果として経費が節減できた。そこで26年度以降に行う大動物実験をについて前倒しで進める予定としたが、当施設の動物実験室への搬入手続き(動物実験委員会への申請)に時間を要し、新規の大動物搬入が行えなかった。そのため、手持ちの動物を用いて実験に着手した(今回の支出に含まれず)。 26年度は繰り越した予算を含めて予定通りに大動物搬入を行い、動物実験を進める予定である。
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