研究課題/領域番号 |
25293300
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
住倉 博仁 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特任研究員 (20433998)
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研究分担者 |
妙中 義之 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 所長 (00142183)
巽 英介 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (00216996)
大沼 健太郎 桐蔭横浜大学, 医用工学部, 講師 (50527992)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 補助循環装置 / 血液ポンプ / カテーテル / モータ / 心不全治療 |
研究実績の概要 |
本研究では、冠動脈や腎動脈などの微小血管に対し、早期に低侵襲にて直接能動的に流量補助を行うことで、心不全患者の心機能、または腎機能の維持・回復を促進可能なカテーテル式循環補助デバイスの開発を目的としている。本年度は腎血流補助用カテーテル式補助循環装置における小型血液ポンプの数値流体解析(Computational fluid dynamics:以下CFD)による改良、試作を行った。更に、本血液ポンプによる選択的腎灌流について、拍動流模擬循環回路を用いた補助性能評価を行った。 (1)腎血流補助用カテーテル式補助循環装置の小型血液ポンプについて、CFD解析を用いた改良を行った。CFD解析結果を元に、インペラ(直径5mm、全長10mm)とポンプケーシングを試作し、小型モータと組み合わせ小型血液ポンプ(直径15mm、全長65mm)を試作した。 (2)試作した小型軸流血液ポンプを模擬循環回路に接続し、ポンプ特性の評価を行った。実験の結果、回転数25,000rpmにて流量1L/min、揚程50mmHgを達成可能であり、両腎動脈を同時に補助可能な性能が得られることが確認された。 (3)本血液ポンプによる選択的腎灌流について、拍動流模擬循環回路を用いた補助性能評価を行った。拍動流模擬循環回路は、心室を模擬する拍動ポンプ、動脈用コンプライアンスチャンバ、腹部大動脈-両腎動脈模擬流路、およびリザーバから構成し、血液ポンプを腹部大動脈流路内に設置し実験を行った。心拍出量4.3L/min、動脈圧83mmHg、両腎動脈圧79mmHg、腎動脈流量1.0L/min(両腎合計)の正常心状態から、心拍出量を低下させ両腎動脈圧と流量をそれぞれ47mmHg、0.67L/minまで低下させた。このとき血液ポンプによる補助を行ったところ、両腎動脈圧86mmHg、腎動脈流量1.02L/minと正常心状態まで増加させることが可能であった。本血液ポンプにて、選択的に両腎動脈圧と流量を補助可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎血流補助用カテーテル式補助循環装置について、CFD解析を応用した改良、試作を行った。模擬循環回路にて試作した小型血液ポンプの評価を実施し、両腎動脈用として基本的な性能が得られることを確認した。更に、拍動流模擬循環回路を用いて補助性能評価を行い、本血液ポンプにて、選択的に両腎動脈圧と流量を補助可能なことが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
小型血液ポンプにおけるポンプ性能と血液適合性の向上を目的とし、CFD解析を応用した改良を継続して行う。更に、左右の腎臓の補助流量を独立して制御可能な小型血液ポンプ構造について検討を行う。また、注水装置・カテーテルと小型血液ポンプとを一体化し、カテーテル式補助循環装置の試作機を作製する。試作したデバイスを用いて、模擬循環回路、および動物実験における評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
左右の腎臓の補助流量を独立して制御可能なポンプ構造を新たに考案したことにより(特許出願済)、実用性の向上が期待できることから、本年度に設計を行うこととした。このため、設計した血液ポンプの試作を次年度に行うこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
小型血液ポンプを試作するための材料・部品の購入費や試作加工費として使用する。また、本研究の成果を国内外に広く発表する目的での学会参加出張旅費として使用する。
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