研究課題/領域番号 |
25293302
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30397880)
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研究分担者 |
宗 淳一 岡山大学, 大学病院, 助教 (90559890)
松田 文彦 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50212220)
山本 寛斉 岡山大学, 大学病院, 助教 (40467733)
佃 和憲 岡山大学, 大学病院, 講師 (20346430)
浅野 博昭 岡山大学, 大学病院, 助教 (70534775)
三好 新一郎 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00190827)
枝園 和彦 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30708079)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 原発性肺癌 / 癌幹細胞 / 上皮間葉移行 / 上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤 / 薬剤耐性 |
研究概要 |
肺癌の治療における薬剤耐性は克服すべき課題である。申請者らはヒト上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤 (TKI) に対する肺癌細胞の耐性化の研究過程で、細胞培養条件を変えることで癌幹細胞様細胞の出現を認めた。本研究では、EGFR-TKI に対する新しい獲得耐性機序の解明と克服、さらには、樹立した癌幹細胞様特性を有する耐性細胞株の分子生物学的特徴を解析し、肺癌の治療薬剤全般の耐性を克服する新しい治療法の確立を目指している。研究期間内で以下の項目を検討する。 #1 EGFR-TKI 感受性細胞株に対し、新規EGFR-TKIを含む薬剤を、曝露法を変えて投与し耐性株を作成する。#2 線維芽細胞と共培養しながらEGFR-TKI 耐性株の樹立を試み、腫瘍微小環境の耐性化への影響をin vitro で確認する。#3 #1で樹立した細胞株の薬剤耐性の原因を解析する。#4 癌幹細胞様耐性株に感受性のある薬剤を検索し、新規治療法を開発する。#5 EGFR-TKI と他の薬剤を同時に長期曝露することにより、耐性細胞出現の抑制法を確立する。 初年度として申請者らは、#1について複数の細胞株について種々の条件でアファチニブを曝露し、新たに複数のアファチニブ耐性株を樹立した。#2については、繊維芽細胞と肺癌細胞の共培養を予備的に行った。#3では、#1で新たに樹立したアファチニブ耐性株を、各種の耐性機序について解析した。#4については、Hsp90阻害剤と放射線療法との併用効果と、癌幹細胞に奏効するという報告のあるメトホルミンの抗腫瘍効果について検討した。#5については、MET遺伝子増幅によるアファチニブ耐性株に対し、アファチニブとクリゾチニブとの併用を行い、3か月での耐性化を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間内に検討予定の課題は以下の通りである。 #1 EGFR-TKI感受性細胞株に対し、新規EGFR-TKIへの耐性株を作成する。#2 線維芽細胞と共培養下でEGFR-TKI 耐性株の樹立し、微小環境の耐性化への影響を確認する。#3 #1で樹立した細胞株の薬剤耐性の原因を解析する。#4 癌幹細胞様耐性株に感受性のある薬剤を検索し、新規治療法を開発する。#5 EGFR-TKI と他の薬剤を同時に長期曝露し、耐性細胞出現を抑制する。 初年度として申請者らは、#1について複数のEGFR変異細胞株に種々の条件でアファチニブを曝露し、新たに複数のアファチニブ耐性株を樹立した。#2については、共培養に用いる繊維芽細胞の影響を評価するため、肺癌細胞株と各種繊維芽細胞との共培養下でのwound healing assayを予備的に行った。結果として、繊維芽細胞と共培養で創の閉鎖は促進され、その効果はTGF-beta阻害剤で抑制された。#3では、#1で新たに樹立したアファチニブ耐性株について各種耐性機序を検討し、アファチニブの曝露によっても癌幹細胞特性をもつ細胞株が出現することを確認した。#4については、Hsp90阻害剤の放射線増感作用に期待し、Hsp90阻害剤と放射線療法との併用効果を検討した。結果として癌幹細胞様耐性株以外に対し上記療法は奏効したが、癌幹細胞様耐性株への効果は限定的であった。また、糖尿病治療薬メトホルミンが癌幹細胞に特異的に奏効するという報告に基づきメトホルミンの抗腫瘍効果を検討した。結果、低グルコース環境下において、親株と比較し癌幹細胞様耐性株に優位にメトホルミンが抗腫瘍効果を示した。#5については、MET遺伝子増幅によるアファチニブ細胞株は、アファチニブとクリゾチニブとの併用に感受性であり、約3か月の曝露で両者への耐性株が樹立され、これは癌幹細胞様特性を示した。
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今後の研究の推進方策 |
EGFR-TKI耐性株の作成であるが、現在、EGFR 変異とその2次変異(T790M変異)を有し、ゲフィチニブに耐性を示すがアファチニブには感受性である細胞株(H1975、H820)についても、現在アファチニブを曝露中である。耐性株の解析では、以前の解析の過程においてマイクロRNA-200(miR-200)ファミリーとEMT-癌幹細胞様特性との関与が示されたため、新規に樹立した耐性株におけるmiR-200の状態についても解析を進めていく。また、当施設には本年新規に次世代シーケンサ―Miseq(illumina社)が導入されたため、次世代シーケンシングを活用した解析も積極的に行っていく予定である。新規治療法の開発においては、メトホルミンの抗腫瘍効果について、現在in vivoのマウス移植モデルで効果を検討中である。腫瘍代謝の面からのアプローチ以外にも、miR-200の導入や脱メチル化薬の使用といったエピジェネティクスアプローチについても進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
分子生物試薬を購入予定であったが残額が満たなかったため次年度請求分と合わせて購入予定とした。 上記残額を合わせ、マイクロRNAのトランスフェクション試薬を購入予定である。
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