研究課題
2013年8月から2015年8月の間に診断された頭蓋内のグリオーマ患者連続57例を対象にした。すべての患者に対して脳腫瘍摘出術前に3-T MRI (Philips、Achieva)を使用してMRSによる腫瘍内代謝産物の測定を行った。MRSの設定条件はpoint-resolved spectroscopic sequence (PRESS)法、シングルボクセル(ボクセルサイズ1.5 × 1.5 × 1.5 cm3)、TR/TE = 2000/35 msに設定した。摘出した腫瘍組織を質量分析計 (GC-MS; GCMS-QP2010 Ultra)を用いて2HGを含む代謝物のメタボローム解析を行い、MRSで得られたデータと比較した。また、腫瘍組織のmRNAの発現量をリアルタイムPCR法、タンパク量をウエスタンブロット法で比較した。57例のうち、10例は壊死や出血による低い信号雑音比や高い半値全幅によって除外し、最終的には47例が登録された。MRSとメタボローム解析で得られた2HG濃度を比較すると、MRSではIDH1変異陽性症例においても2HGを測定できない症例(偽陰性)やIDH1野生型症例において2HGを過大評価してしまう症例(偽陽性)が存在した。一方、IDH1変異神経膠腫では、グルタミン酸濃度が有意に低下していた。グルタミン酸濃度は腫瘍悪性度が増すにつれて増加したが、2HG濃度は悪性度と相関は無かった。また2HGとグルタミン酸濃度は、腫瘍組織系やMGMTのメチル化には有意な関連は認めなかった。2HG測定にグルタミン酸測定を加えることによりIDH1変異有無の予測精度(感度・特異度)は向上した。グリオーマ細胞(U87 MG)にIDH1変異遺伝子を導入し、上記代謝変動を確認した。多変量解析を行うと、2HGとともにグルタミン酸がIDH1変異陽性細胞の代謝変化に最も寄与する代謝物であり、IDH1変異陽性細胞では2HG濃度の増加とともにグルタミン酸濃度の低下を認めた。このことからグルタミン酸はIDH1変異予測の新たなバイオマーカーになりうることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Neuro-Oncology
巻: in press ページ: 1-10
BMC Neurol.
巻: 16(1 ページ: 1-4
10.1186/s12883-015-0516-9.
Asia Pac J Clin Oncol
巻: Mar 3 ページ: 1-8
10.1111/ajco.12451
Neuroradiology
巻: in press ページ: 1-8
J Clin Invest
巻: 125(4) ページ: 1591-602
10.1172/JCI78239
J Neurooncol
巻: 124(2) ページ: 165-74
10.1007/s11060-015-1843-9
Clin Neurol Neurosurg
巻: 138 ページ: 37-44
10.1016/j.clineuro.2015.07.019
Brain Pathol
巻: Aug 28 ページ: 1-9
10.1111/bpa.12318
Oncotarget
巻: 6(29) ページ: 26544-5
10.18632/oncotarget.5263