研究実績の概要 |
脳腫瘍(グリオーマ)サンプルの分子病理学的解析:従来のマイクロサテライトマーカーを用いたLOH解析と本研究にて確立させたhigh resolution melting (HRM)法を用いて、10番染色体、1p/19q共欠失、IDH1/2遺伝子変異、さらにBRAF遺伝子、H3F3A遺伝子、TERT遺伝子の解析を加え、より正確な遺伝子型同定法を確立した。平成26年度は新規グリオーマ84例の解析を施行した。BRAF遺伝子、H3F3A遺伝子に関しては、さらに333例のグリオーマ症例に対し、後方視的に解析を加え、pilocytic astrocytoma, pleomorphic astrocytoma,gangliogliomaに優位にBRAF変異を認めた。H3F3A変異は、小児、若年膠芽腫に変異を認めた。 グリオーマ症例血中microRNA(miRNA)発現解析:新規グリオーマ症例術前の血漿または血清を採取した。血中miRNAは、全血またはExo-QUICKで抽出したエクソソームを対象に解析をおこなった。同時に摘出腫瘍サンプルの発現解析も同様におこなった。我々のこれまでの解析にて、グリオーマにおいて有意に発現変動を認めた7つのmiRNA (miR-21, miR-9, miR-10b, miR-22, miR-196a, miR-196b, miR-16)の解析を行った。原発腫瘍における高発現miRNA、miR-21が、その発現同定が可能であり、バイオマーカーとしての有用性が示唆された。 miRNA機能解析:miRNA発現制御による腫瘍形成制御を目的に、浸潤能に着目し、in vitroでの研究を継続した。miR-127, -145, -31の過剰発現により、浸潤能が有意に低下することが明らかになった。
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