研究課題
本研究は、骨形成因子(BMP)ファミリーに属する遺伝子群による硬組織のホメオスタシスの統括的な理解、及びその破綻に基づく硬組織関連疾患の病因の解明を最終目的としている。これまでの研究成果に基づき、本研究期間においては、(I) BMP2欠損マウスで観察される骨折治癒プロセスの破綻の原因解析に基づく、骨のホメオスタシスにおけるBMPシグナルの生理機能の解析、(II) BMP7欠損マウスに観察される自然発症の変形性膝関節症の病態の解析に基づく、関節軟骨のホメオスタシスにおけるBMPシグナルの生理機能の解析、(III) BMP4欠損マウスにおいて観察される造血幹細胞数の低下の分子メカニズムの解析に基づく、骨髄造血微小環境(HSC niche)のホメオスタシスにおけるBMPシグナルの生理機能の解析に関して検討を行っている。私たちは、これまで、Bmp2の活性が、骨形成には必須ではないが、恒常性の維持に欠くことができないこと、関節軟骨の維持にBmp2およびBmp7の活性が必須であることを示してきた。これに対して、Bmp4の活性は、骨軟骨の発生並びに恒常性の維持には必須ではないが、造血幹細胞の微小環境の維持に必要であることを明らかとした。これらの結果に加えて、私たちは、半月板の形成並びに維持にBmp2の活性が必須であることを示した。すなわち、後肢の発生過程において骨、軟骨の原基を形成する間葉系細胞において特異的にBmp2を欠損したマウスにおいては、半月板様組織の形成は観察されるが、その後の線維軟骨様組織への分化が観察されないことを明らかとした。この半月板は、形態学的にはヒトの円板状半月板と類似の構造を取るが、電子顕微鏡を用いた組織学的解析の結果、円板状半月板と類似しておらず、単なる分化の抑制であると考えられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)
J Orthop Res.
巻: in press ページ: in press
10.1002/jor.24042
Stem Cell Res Ther.
巻: 9 ページ: 123
10.1186/s13287-018-0870-9.
Sci Rep.
巻: 8 ページ: 1288
10.1038/s41598-018-19670-x.
J Med Dent Sci.
巻: accepted ページ: accepted