研究課題/領域番号 |
25293319
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
秋山 治彦 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60402830)
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研究分担者 |
宿南 知佐 広島大学, その他の研究科, 教授 (60303905)
松田 秀一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40294938)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨萎縮 / 骨細胞 / カリウムチャネル |
研究概要 |
マウスの坐骨神経結紮モデルにおいて、術後1週目および3週目の骨萎縮を呈した大腿骨より骨細胞を単離し、カリウムチャネルKcnmb1とKcnmb4の発現レベルの変化をsham手術群と比較した。Kcnmb1は、廃用性骨萎縮1週目で発現量の増加を呈し、3週目で低下した。一方、Kcnmb4は廃用性骨萎縮1週目および3週目で継続的に発現量の低下を見た。手術のポジティブコントロールとして骨細胞に特異的に発現するSOSTの発現量を計測したところ、廃用性骨萎縮1週目および3週目ともに継続的に低下していた。以上の結果より、廃用性骨萎縮をきたした大腿骨骨細胞では、その初期にkcnmb1の発現が亢進し、Kcnmb4とは異なる何らかの役割を果たしていると考えられた。次に、マウス骨細胞にBKチャネルブロッカーであるTEA(tetra-ethyl-ammonium)およびオープナーのIPA(isopimaric acid)を添加しアルカリフォスファターゼおよびSOSTの発現を解析した。TEAでは、これら遺伝子の発現量は有意に上昇したものの、IPAではほとんど上昇しなかった。よって、Kcnmカリウムチャネルの機能亢進で骨細胞の機能が抑制されている事が推測された。 以上の結果から、廃用性骨萎縮をきたした早期にはカリウムチャネルであるKcnmb1ユニットの一過性の遺伝子発現をきたし、骨細胞機能の早期抑制に関与している事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
京都大学から岐阜大学に異動により、組み換え遺伝子実験・動物実験をはじめとする研究全般が一時的に実施できなくなったため
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今後の研究の推進方策 |
岐阜大学における組み換え遺伝子研究および動物実験研究の許可が終了したため、研究計画通りに実施する予定。 生体におけるBKチャネルの骨組織への機能を解析するため、Kcnmβ1, Kcnmβ4ノックアウトマウスおよびダブルノックアウトマウスを作製する。それぞれの遺伝子が欠失したES細胞をInternational Knockout Mouse Consortiumより購入し、それぞれのES細胞をblastocyst injectionしキメラマウス、さらにノックアウトマウスを作製する。生後2ヶ月齢のマウスを屠殺し、腰椎および脛骨を摘出し、マイクロCTおよび硬組織切片による骨形態計測による骨組織解析を行い、それぞれのノックアウトマウスの骨組織の表現系を明らかにする。 骨細胞における細胞内カルシウム濃度の変化を定量的に可視化するため、GCaMP遺伝子をDmp110kbプロモーターと結合したトランスジーンを構築し、C57BL/6マウスの受精卵前核にpronuclear injectionし、骨細胞特異的にGCaMPを発現するトランスジェニックマウスを作製する(Dmp1-GCaMP Tg)。 Dmp1-GCaMP Tgと蛍光強度の内部コントロールとしてDmp1-iRFP Tgを交配したダブルヘミマウスを作製し、ダブルヘミマウスの大腿骨に0.4mmステンレスワイヤー4本(近位2本、遠位2本)を貫通させ、創外固定器で固定する。レントゲン撮像にて大腿骨皮質骨のリモデリングが観察された時点で、全身麻酔下に大腿骨を露出させ、共焦点レーザー顕微鏡で大腿骨骨皮質のGFPおよびiRFPの蛍光を検出できる骨皮質部位を同定し、蛍光強度を測定する。さらに、蛍光が検出された部位の形態学的解析を三次元マイクロCT画像で、組織学的解析をフィルム法により作製した凍結薄切切片のヘマトキシリン/エオジン染色で実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
京都大学から岐阜大学に異動となったため、マウスの作製等実験が遅延しているため、次年度繰越金が生じた。 平成26年度に、遺伝子改変マウス(ノックアウトマウス)を作成する費用に使用する。
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