継代培養を繰り返して細胞老化に近い(=senescent)ヒト間葉系幹細胞と培養回数が少ない(=young)間葉系幹細胞をそれぞれ軟骨細胞に分化誘導し、その過程でサンプリングを行い、軟骨細胞マーカー遺伝子の発現を解析した。同様に、senescent 間葉系幹細胞にdelta133p53を過剰発現あるいはコントロールベクターを導入し、軟骨細胞マーカー遺伝子の発現を解析したところ、コントロールベクターを導入細胞は、軟骨細胞にうまく分化できなく、マーカー遺伝子発現も認められなったが、delta133p53を過剰発現細胞は、young間葉系幹細胞と同様に軟骨細胞に分化し、軟骨細胞マーカー遺伝子発現も確認された。このことから、予想通りにdelta133p53を過剰発現すると細胞の若返りが起こり、軟骨細胞に分化することができると示唆される。 さらに、young、senescent 間葉系幹細胞、young 間葉系幹細胞にp53 beta を過剰発現あるいはコントロールベクターを導入、senescent 間葉系幹細胞にdelta133p53を過剰発現あるいはコントロールベクターを導入、のサンプルでメタボローム解析を行ったところ、p53 beta を過剰発現させたyoung細胞はsenescent 細胞に近いこと、また、delta133p53 過剰発現細胞は特異的なメタボロームの存在があることがわかった。また、これらのサンプルを用いてRNA-Seq解析を行い、現在詳細な解析を行っているところである。
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