研究課題
悪性骨軟部腫瘍は極めて悪性度の高い腫瘍である。近年の系統的化学療法導入により、飛躍的な生存率の向上が得られている。しかし、薬剤耐性化を来たし化学療法の奏功しない症例では、集学的治療にも関わらず依然予後は極めて不良である。さらなる治療成績向上のためには、肉腫における薬剤耐性獲得機構の解明が必須である。本研究では、肉腫の細胞自律的および非細胞自律的な薬剤耐性獲得メカニズムを解明し、治療成績向上のための基盤研究を以下のステップに分けて検討する。(1)肉腫細胞の細胞自律的な機構の解析、(2)周囲間質環境からの肉腫細胞への働きかけによる非細胞自律的な機構に対する分子細胞生物学的および臨床検体を用いた解析、(3)肉腫細胞を用いた薬剤耐性動物モデルを用いた、既存の抗腫瘍薬と薬剤耐性獲得機構を阻害する分子標的治療の組み合わせによる、新規の薬剤耐性克服治療の可能性を探索する。今年度は上記(1)、(3)に焦点をあて解析を進め以下の新しい知見を得た。滑膜肉腫細胞株における経口マルチチロシンキナーゼ阻害薬であるパゾパニブ(PAZ)耐性株 (PAZ耐性株)を樹立、耐性メカニズムの検討した結果、PAZ耐性株では親株と比較して増殖能が高く、PAZによる細胞周期のG1 arrestが生じにくくなっていた。さらに、親株とPAZ耐性株間の遺伝子発現の違いについて網羅的解析を行った結果、PAZ耐性株ではチロシンホスファターゼの1種であるMKP3の発現が低下し、MAPK経路が活性化されているためPAZ耐性化を来している事を見いだした。(投稿中) 今回の結果により、進行肉腫におけるPAZ耐性化が克服される可能性があり、臨床的インパクトは極めて大きいと予想される。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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