研究課題/領域番号 |
25293326
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
片桐 岳信 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80245802)
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研究分担者 |
自見 英治郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40276598)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 運動器 / 筋 / シグナル伝達 / 生理活性物質 / 細胞 |
研究概要 |
骨組織や軟骨組織、筋組織を含む間葉系組織は、多分化能を有した未分化間葉系幹細胞から分化した組織特異的細胞によって形成されると考えられている。Bone Morphogenetic Protein (BMP)やTransforming Growth Factor-beta (TGF-beta)ファミリーの因子は、これら間葉系細胞の分化や機能に重要な成長因子群で、その細胞内情報伝達系は、Mitogen-activated Protein Kinase (MAPキナーゼ)などとクロストークして正または負に制御されている。NF-kBは、炎症性サイトカインなどによって活性化される重要なシグナル伝達系で、BMPやTGF-betaの活性を修飾する。本研究では、筋組織の細胞の増殖や分化を調節する重要な分子機構の解明を目指す。今年度は、筋組織の単核細胞を効率よく、FACSを用いて分取する方法を確立した。これらの細胞は、BMPを始めとする成長因子によって最終分化が正または負に制御された。筋組織における異所性骨化の新しい病態モデルを樹立し、その分子レベルでの解析を開始した。次年度以降の研究では、筋組織由来細胞内のBMPやTGF-bファミリーの成長因子と他の成長因子、ホルモン、サイトカイン等とのクロストークを含め、運動器を構成する間葉系組織の重要な制御機構の解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨格筋における単核細胞の、FACSを用いた分取法を確立した。再現性良く、筋、脂肪、その他の細胞群に分画できることを確認している。これらの細胞は、TGFbファミリー等によって分化の抑制、あるいは促進が確認された。計画していたNFkBの役割については、次年度以降に解析を行う。テトラサイクリン誘導性にBMP受容体を発現する培養細胞モデルを樹立した。in vivoの遺伝子導入法について、エレクトロポレーションやそのポレーション法の予備実験を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
in vivoにおける遺伝子発現実験を行うために、タモキシフェン誘導性にDNA組み換え酵素(Cre)を発現するトランスジェニックマウスを導入する。本マウスと、我々が樹立した変異ALK2遺伝子発現マウスを交配することで、タモキシフェン誘導性に筋組織内で異所性骨化を起こす病態モデルの作製を試みる。この骨格筋組織を組織学的、生化学的に解析することで、異所性骨化に重要な前駆細胞の同定を目指す。 また、BMPやTGFbの細胞内情報伝達因子であるSmad4遺伝子を誘導性にノックアウトできるマウスを用いて、上記のタモキシフェン誘導性Cre発現マウスと交配し、骨格筋組織におけるSmad4を介した情報伝達系の重要性を解析する。特に、骨格筋ではTGFbファミリーのMyostatinが筋肥大抑制因子であることが明らかとなっており、このMyostatinの生理作用がSmad4を介しているかどうかを明らかにする。 また、TGFbファミリー以外の運動器調節因子についても、引き続き探索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
一般試薬の使用量が、予想よりも若干少なかったため。 次年度の一般試薬代として、使用予定である。
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