研究課題
骨を作る細胞は骨芽細胞と呼ばれ、骨芽細胞を活性化するメカニズムを明らかにすることによって骨形成を促す医療につなげることは学術的にも重要である。全身で転写因子Fra-1を発現するトランスジェニックマウスでは、骨芽細胞の骨形成活性が亢進し、骨髄腔が骨梁で進行性に満たされていくことが知られている。しかし、このマウスにおける骨形成亢進の分子メカニズムは不明である。本研究では、転写因子Fra-1による骨芽細胞の活性化機構を、細胞組織学的手法で解明することを目指した。ドキシサイクリンという無害の薬剤を餌に混ぜて投与したときにFra-1の発現が全身で誘導されるマウスを作製して、生後21日目から5日間発現誘導をかけて、骨髄君における骨量の増加を観察できる実験系を構築した。また「骨形成の場における微小血管の増生が、骨形成を亢進させている」という作業仮説を確かめるために、血管内皮細胞特異的にFra-1を発現するマウスを作製した。毛細血管と骨芽細胞の相互作用を解析する過程で、高解像度X線顕微鏡で骨形成の過程を解析するために、小さな骨(耳小骨と腓骨)を用いることになった。耳小骨(ツチ骨の短突起)で、骨芽細胞を周囲に伴う「骨形成性血管」が存在し、血管周囲に骨形成を起こしていることを見出して報告した。全身性Fra-1トランスジェニックマウスでは、この骨形成性血管が増生していた。つまり、血管から骨基質の材料を受け取った骨芽細胞が、血管周囲に骨基質を分泌して骨を作っていること、さらにFra-1トランスジェニックマウスでは、骨形成性血管が増生している可能性が高いことが示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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