研究課題/領域番号 |
25293329
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
垣花 学 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20274897)
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研究分担者 |
大城 匡勝 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (00315483)
中村 清哉 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (00363680)
野口 信弘 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (80457671)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 硫化水素 / 脊髄神経 / 神経変性 |
研究概要 |
マウスを用いた一過性脊髄虚血後の硫化水素吸入療法による遅発性脊髄神経細胞死に対する保護効果の機序について検討した。硫化水素の臓器保護効果には一酸化窒素が関与するという報告があることから、一酸化窒素ドナーである亜硝酸ナトリウム投与(虚血前5日間経口投与)の効果ならびに血管内皮型一酸化窒素合成酵素過剰発現マウス(心筋細胞)を用い、一過性脊髄虚血後の遅発性脊髄神経障害の発症を比較検討した。その結果、亜硝酸ナトリウム投与群では、対照群と比較し対麻痺発症は減少した(統計学的有意差はなし)。また、血管内皮型一酸化窒素合成酵素過剰発現マウスでは、8匹中1匹のみ遅発性対麻痺を発症し、統計学的にも有意差を以て改善効果が認められた。また、誘導型一酸化窒素合成酵素欠損マウスに脊髄虚血を与え、硫化水素吸入療法を行ったところ、硫化水素の効果は全く発揮されなかった。このことから、硫化水素吸入による脊髄神経細胞保護効果は一酸化窒素を介することが示唆された。 硫化水素吸入による脊髄神経細胞保護効果が、一酸化窒素の存在下に発揮されるものである可能性が示唆されたが、この効果が一酸化窒素を介する二次的な効果であるのか、あるいは一酸化窒素との相互作用により発揮する効果であるのかは不明である。実際、硫化水素吸入により一酸化窒素合成酵素の発現が増加するかを検討している最中であるが、これまでの結果では一酸化窒素合成酵素の発現に、硫化水素吸入療法が大きな効果を示しているという結果は得られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画により本研究目的に見合った結果が得られている。特に一酸化窒素の関与について、薬理学的解析、遺伝子改変マウスを用いた実験ならびに分子生物学的検討から、それを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、硫化水素吸入による一酸化窒素合成酵素の発現変化(PCR)、リン酸化の変化(WB)、ならびに遺伝子改変動物を用いた予後変化について検討する。また、一酸化窒素以外に一酸化炭素に関しても、一酸化炭素合成酵素の変化、遺伝子改変マウスなどを用いた実験によりその機序を追求していきたいと考えている。
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