研究課題/領域番号 |
25293329
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
垣花 学 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20274897)
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研究分担者 |
大城 匡勝 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (00315483)
中村 清哉 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (00363680)
野口 信弘 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (80457671)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 硫化水素ガス / 遅発性脊髄障害 / 脊髄神経細胞死 / 炎症性サイトカイン / HO-1 |
研究実績の概要 |
<H2S吸入による脊髄におけるHO-1発現> 脊髄虚血後にH2S吸入を行った後に、脊髄を摘出しNrf2の下流にあるHO-1のmRNA発現を検討した。その結果、H2S吸入後2時間で採取した脊髄においては、空気吸入群と比較しH2S吸入群でHO-1のmRNAが増加していることは認められなかった。さらに、H2S吸入後の脊髄におけるNrf2の核内移行を免疫染色で検討したところ、H2S群においてNrf2核内移行は認められなかった。 <遅発性神経障害発生時の炎症性サイトカインの動向およびH2S吸入療法の影響> 脊髄虚血後の遅発性脊髄障害発生過程における炎症性サイトカインの発現を検討した結果、脊髄虚血後24~48時間にかけて炎症性サイトカイン(TNFα、IL-1β、IL-6)の変化を検討した結果、脊髄虚血後30時間目から全ての炎症性サイトカインが増加した。H2S吸入療法により、その炎症性サイトカインの発現は、著明に低下しており、H2S吸入には炎症性サイトカインの発現を抑える効果があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで遅発性脊髄障害の発生機序について、炎症性サイトカインの過剰発現を証明し、さらに脊髄虚血後の硫化水素ガス吸入により脊髄において炎症性サイトカインのmRNAの発現抑制を証明できたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
硫化水素ガスを吸入することで脊髄における抗アポトーシス蛋白の発現を促進することが明らかとなった。脊髄虚血後の神経細胞あるいはグリア細胞におけるNFκBの核内移行とそれに引き続くサイトカイン過剰産生により脊髄におけるアポトーシスが促進することが示唆されているが、硫化水素ガス分子がNFκBに修飾効果を示し、それが抗アポトーシス蛋白であるBcl-XL発現を促進したと仮説を立てている。そこで、今後は神経培養細胞を用い、硫化水素ドナーを用い、NFκBへの修飾を証明し、それにより抗アポトーシス蛋白の発現を促進することを証明する。
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