研究課題/領域番号 |
25293331
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
風間 富栄 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (40158837)
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研究分担者 |
佐藤 泰司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 講師 (10505267)
照井 克生 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90256074)
神尾 陽子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, その他部局等, その他 (00252445)
鈴木 康之 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (60179265)
遠藤 昌吾 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), その他部局等, その他 (60192514)
中田 隆博 石川県立看護大学, 看護学部, 准教授 (40273932)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 麻酔 / セボフルラン / 発達 / 脳 / 神経毒性 / 母性行動 / 行動実験 / マウス |
研究概要 |
当該年度は、計画通り発達期の脳に対する麻酔薬の曝露の脳高次機能に対する影響について、特に母性行動異常についてマウスを用いて解析した。この研究の成果はAnesthesilogy誌で報告した(Takaenoki et al., Anesthesiology, 2014)。 生後6日齢のマウスを2群に分け、コントロール群(C群)はFiO2 0.3で6時間、セボフルラン群(S群)はFiO2 0.3、3%セボフルランに6時間曝露した。雌は7週齢から交配し、出産当日に各種母性行動実験を行い、雄は11週齢で行動実験を行った。仔の生存率は生後6日目まで観察した。統計学的検討はStudent’s t-testで行い、生存率はlog-rank testで行い、P<0.05を有意とした。その結果、S群の妊娠・出産はC群と変わらなかった。仔の生存率はS群が有意に低かった(P<0.0001, S群, n=110; C群, n=124)。行動実験はC群(n=11)と比べ、S群(n=10)が、巣を作らず(P<0.01)、巣外に仔を放置し(P<0.05)、養育行動をほとんど行わず(P<0.01)、新生仔回収試験(P<0.05)でも有意差を認めた。S群から産まれた仔をC群が養育した場合、仔は生存し(P<0.0001, S群養育, n=45; C群養育, n=44)、S群の仔の生存率が低い原因は母親にあることがわかった。しかし、初産時に行動異常を示したS群も2回目の出産では母性行動が大幅に改善され、仔の生存率や行動実験で両群間に有意差は認めなかった。また、雄(S群, n=13; C群, n=13)も仔を攻撃するような行動異常を示した。以上より、幼若期のマウスのセボフルランへの曝露は、成長後に種の生存に必要な本能行動である母性行動に重大な影響を与えることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は動物実験に関しては予定していた研究について、成果をAnesthesiology誌で発表できた上、筆頭著者は日本麻酔科学会若手奨励賞を受賞することができた。しかしながら、次年度以降に予定している疫学研究については他機関との調整が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、動物実験については引き続き行う。その際、麻酔薬の神経毒性に関する病態の解析から、メカニズムの解析へと重点を移していく。また、ヒトにおける疫学的研究については、動物実験の結果を基にエンドポイントを設定し、効率的な解析ができるように推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度は実験補助者の雇用開始が遅れたことにより、次年度使用額が生じた。また、動物実験用に購入予定だった行動実験装置を既存の機器の改造で補うことができたため、次年度使用額が生じた。 今回生じた次年度使用額を活用して、マウス行動実験用の新たな行動実験装置及び、解析機器、顕微鏡の購入に充当する予定である。
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